『Windows Phone 7』は、マイクロソフトが使いやすさを重視して開発したスマホ向けOSです。前身である『Windows Mobile』向けアプリは動きませんが、UIやデザイン、動作速度などを1から見直し、Windows Mobileとは比較にならないほど直感的でわかりやすく、キビキビとした操作性を実現した、きわめて快適なOSです。
5月16日(米国現地時間)に開かれた技術者会議で、次期アップデート版(開発コードネーム:Mango)のうち、SkyDrive上でのオフィス文書の共有など一部ビジネス向け新機能が公開されたばかりですが、本日追加発表があり、新たな事実が明らかになりました! ちなみになぜ"Mango"かというと、"Apple"よりも甘いから、だとか……。
下記が本日発表されたニュースリリース原文です。
●マイクロソフト、Windows Phoneの次期メジャーリリースをプレビュー
~よりスマートで容易なコミュニケーション、アプリ、インターネットを提供する「Mango」により、世界中の多くの市場でWindows Phoneが展開可能に ~
~(当リリースは2011年5月24日に米国で発表されたリリースの抄訳をベースにしています)~
マイクロソフト コーポレーション(Microsoft Corporation、本社:米国ワシントン州レドモンド)は、米国時間5月24日、世界各国における一連のメディアイベントを通じてWindows Phoneの次期メジャーリリース(コードネーム「Mango」)のプレビューを行ないました。「Mango」は、スマートフォンの現状に対する代替案として設計されており、コミュニケーション、アプリ、インターネットにおけるスマートフォンの領域を拡大する500以上の新機能を提供します。この新リリースは、全てのWindows Phone 7ユーザーへのアップグレードとして無償で利用可能になり、また今秋以降に登場する新しい携帯電話に搭載される予定です。同時に、Windows Phoneは複数の追加言語をサポートするとともに、新たな国でアプリのマーケットプレイスを立ち上げ、新たなOEMメーカーとの提携により新規市場を開拓します。
マイクロソフトでMobile Communications Business部門のプレジデントを務めるアンディリース(Andy Lees) は「当社は7ヶ月前、スマートフォンを人々にとってよりスマートに、そして使いやすくするというミッションを開始しました。「Mango」の登場によってWindows Phoneは、人々がわずかな手間で、より多くの成果を得られるよう、これまでのコミュニケーション方法やアプリ、インターネットの利用形態を再定義する大きな一歩を踏み出したのです。」と述べています。
コミュニケーション: 接続と共用をより簡単に
通話、テキストメッセージ、電子メール、IMから近況更新、ツイート、チェックイン、写真投稿、タグ付けに至るまで、現在のスマートフォンでは、コミュニケーションのたびにいくつものアプリやアカウントを使い分けなければならず、その利用体験は複雑化するばかりでした。複雑化の一途をたどる状況にユーザーが対処できるよう、「Mango」ではアプリ中心ではなく、対話したい「人」を中心に情報をまとめます。
• Threads(スレッド):同じ会話の中でテキスト、Facebookのチャット、Windows Live Messengerの切り替えが可能です。
• Groups(グループ):グループの連絡先をLive Tile(ライブタイル)に格納し、スタート画面から最新の状況を見たり、テキスト、電子メール、インスタントメッセージをグループ全体にすばやく送信したりすることができます。
• ソーシャル ネットワークとのより緊密な統合:TwitterとLinkedInのフィードがコンタクト カードに統合され、Facebook のチェックイン機能もビルトインされました。また、写真のタグ付けとウェブへの投稿を容易にする新しい顔認識ソフトウェアも搭載されました。
• 受信トレイのリンク:複数の電子メールアカウントをひとつの受信トレイで閲覧可能です。会話は常に最新のメールを把握しやすいように表示されます。
• ハンズフリー メッセージング:音声→テキスト、テキスト→音声の変換をサポートすることにより、ハンズフリーのテキスト送受信やチャットが可能になります。
アプリへのよりスマートなアプローチ
Windows Phoneは人々のアプリに対する考え方を変えることになるでしょう。現在アプリの有用性はアプリ内で実行できる機能によってのみ評価されていますが、アプリの本当の便利さとは、いかに携帯電話のコアエクスペリエンスと直接的に統合できるかにあります。「Mango」ではアプリからの通知や更新情報をスタートスクリーンから直接的に得ることができるようになるほか、アプリの情報を、検索結果の一部やWindows Phone Hub(ウィンドウズ フォン ハブ)内においても表示します。これにより、本当に必要なアプリに、必要な時にすぐアクセスできるようになります。
• App Connect(アップコネクト):アプリを検索結果と結びつけ、音楽と動画、写真などのWindows Phone Hubとの統合をより緊密にすることで、必要なアプリを必要な時に必要な場所で表示します。App ConnectはMarketplaceと連携しており、検索結果は携帯電話上に既にあるアプリと、ダウンロードすべき新規アプリの両方を含みます。
• さらに便利になった Live Tile(ライブタイル):アプリを開くことなしにアプリからリアルタイムの更新情報を得られます。ライブタイルはさらに動的になり、より多くの情報を格納することができるようになります。
• マルチタスキング:使用中のアプリを迅速に切り替え、バッテリーの持続時間と性能を維持しながらバックグラウンドでアプリを稼動することが可能になりました。
ブラウザーを越えてウェブを拡張
世界で最も広く使われているブラウザーであるInternet Explorerを組み込んだことに加え、「Mango」では、ウェブの能力を位置情報、カメラ、アプリへのアクセスなど機能と結びつけ、よりローカライズされ、便利で、最適な、新しいウェブ体験を提供します。
• Internet Explorer 9:IE9をベースとしたブラウザーを組みこむことで、HTLM5のサポート、ハードウェアアクセラレーションによるサイト表示の高速化が加わりました。
• Local Scout(ローカル スカウト):ハイパーローカルな検索結果を表示し、提供し、近くのレストラン、商店、イベントを推薦してくれます。
• Bing on Windows Phone:Bing Vision、Bing Audio、そして音声などの多様な方法でウェブ検索を可能にし、より情報を見つけやすくします。
• Cards(カード):製品、映画、イベント、場所などを検索する時に、関連したアプリなどの重要情報の要約が参照可能です。
エコシステムの強化
10月のWindows Phone 7出荷開始以降、Windows Phoneのエコシステムは着実に拡大しています。現時点で17,000以上のアプリがMarketplace上で利用可能であり、すでに世界中のパートナーからWindows Phone搭載端末が発売されています。最近ではNokiaとの提携が発表されました。加えて「Mango」では、Acer Inc.、富士通株式会社、およびZTE Corp.との新たな提携により、Windows Phoneのエコシステムはさらに拡大し、強化されます。本日、これらの企業は世界中の市場において新たなWindows Phone搭載端末の提供を開始することを表明しました。さらにマイクロソフトは、ブラジルポルトガル語、中国語(簡体)、中国語 (繁体)、 チェコ語、 デンマーク語、オランダ語、フィンランド語、ギリシャ語、ハンガリー語、日本語、韓国語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スウェーデン語の追加言語のサポートを発表し、消費者が Windows Phone Marketplaceを介してアプリにアクセスできる国の数を大きく拡大しました。最後に、次世代の「Mango」アプリとゲームを作成するために使用される無償のWindows Phone Developerツールのベータ版が、本日のイベントから24時間以内にマイクロソフトのウェブサイトに公開ダウンロード用として提供されます。アプリ開発者にとって「Mango」が持つ意義について詳しく知りたい方、また各種ツールおよびダウンロードページへのリンク等はコチラをご参照下さい。
注1:本文中の機能は米国での仕様に基づきます。言語、地域などにより、一部機能に利用制限がある場合があります。日本市場向けの仕様については、現在検討中です。
注2:日本国内におけるWindows Phone関連最新情報は下記をご参照ください。
Windows Phone Japan Facebookページ
http://www.facebook.com/WindowsPhoneJapan
APP HUB (Windows PhoneおよびXbox 360開発者向けサイト)
http://create.msdn.com/ja-JP
開発ツールもアップデート |
↑開発ツールにダイレクトカメラアクセスや、コンパス&ジャイロセンサー用のAPIなどが追加。ARカメラのようなアプリの開発が可能になった。 |
ツイッターやフェイスブックとの連携など強化ポイントはいくつかあるのですが、今回のMangoでもっとも注目すべきは言語環境でしょう。とくに日本を含む世界35ヵ国の言語にOSレベルで対応したことは、日本の、そして世界のスマホファンにとって、かなりの朗報。と言うか“祭り”なんじゃないでしょうか!
最終的な判断はキャリアが行なうとは言え、グローバルと足並みを合わせた迅速なOSのアップデート提供が期待できるのはうれしい限り。『Silverlight』を利用した開発ツールも新たに日本語に対応しました。Windows Phone 7対応アプリの本数は5月24日時点で1万8000本を超えており、今後は日本語アプリも一気に増えそうです。
搭載フォントは、ウィンドウズでおなじみのメイリオとUIゴシック。肝心の日本語入力についてはまだほとんど情報がない状態ですが、編集部が独自にキャッチした情報によると、フリック入力が1歩進んだUIとなり、これまでにない変換エンジンを搭載する模様です。
日本発売一番乗りはどのメーカー? |
↑左から、HTC、LG、サムスン製端末。Windows Phone 7端末はレギュレーションが厳格でハードウェア的差異は少ないが、ジャイロセンサーの有無など細かな違いはある。 |
気になる日本での展開ですが、具体的にどのキャリアから、どんな端末が発売されるかなど詳細はまだ不明です。が、これまた編集部が独自にキャッチした情報によると、国内発売に向けた準備が着々と進行中であることは確かなようで、時期的には早ければ今秋! ……遅くとも年内には搭載端末が登場する見込みかと。先行するiPhoneやアンドロイドとの三つ巴の戦いが今から楽しみですね。というか、早くMangoに触ってみたい!
サムスン製Windows Phone 7端末を入手!? |
↑忠実にWindows Phone 7の音楽プレーヤーを再現しているが、これはAndroid OS用フェイクアプリの『Fede’s Music App』。早く本物をぞんぶんに触りたいものです。 |
Windows Phone Japan(※フェイスブック)
Windows Phone Newsroom(※英語サイト)
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