日本放送協会(NHK)とシャープが共同開発しているスーパーハイビジョンタイトル対応液晶ディスプレーが公開された。
スーパーハイビジョンは、次世代のテレビ放送サービスとして、2020年の試験放送をめざしている。
現在のハイビジョンの16倍である約3300万画素で、これまでにない臨場感と迫力の映像を体現できるというもの。
NHKは、1995年から研究開発をはじめ、フル解像度カメラや半導体メモリーカードなどの機器もあわせて開発を行なっている。
今回、シャープの液晶技術である“UV2A技術”を採用することで、スーパーハイビジョン対応の直視型の液晶ディスプレーを世界で初めて実現させた。 今回公開された液晶ディスプレー85インチで、画面サイズは約1.9×1.05メートル。
画素数は7680×4320ドットの約3300万画素、輝度は300cd/m2。インターフェースには、16個ものHDMIをすべて利用する。 現在は開発の段階で、価格や発売時期は未公表。
実際のセットを撮影し、リアルタイムで配信していたもの。実物(写真右)と、遜色ないリアルさだ。
NHK専務理事技師長の永井研二氏。
「2020年予定の試験放送では、現在の衛星放送の帯域では難しいので、ひとつ上の21GHzを検討している」とのこと。
「最終的には、あくまで家庭でフルハイビジョンの映像を楽しんでもらうのが目標」と語った。
シャープ常務執行役員 研究開発本部長 兼 知的財産権本部長の水嶋繁光氏。
「これまでの16倍の情報を処理さなければならないため、シャープの液晶工場で培った技術をフルに応用し、スーパーハイビジョンのための新技術も開発した」という。
たとえば、配線は抵抗値を小さくするため配線構造も大きく変え、信号処理も新しく開発したとのこと。バックライトは、従来の白色LEDからRGB-LEDを採用。これにより、色鮮やかな表現が可能になった。
(スーパーハイビジョン液晶を接写撮影)
実際に映像を見た感想としては、「奥行がある」というのが第一印象。満開の桜の木などが、画面から浮かび上がっているようなリアリティーを感じた。
このスーパーハイビジョン液晶ディスプレーは、5月26日から開催の、NHK放送技術研究所の一般公開で展示される。次世代の映像を体感してみたい人は、ぜひ行ってみよう。
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