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【インタビュー】supercellが2年ぶりニューアルバム

2011年03月22日 23時44分更新

 ニコニコ動画で話題になり、メジャーデビューを果たしたクリエイター集団、supercellが約2年ぶりにフルアルバムを発表! 新作に込めた思いをたっぷり伺ってきました。
 

supercell

音楽とイラストのぶつかるさま

――まずはsupercellの成り立ちからお願いします。

ryo 自分が動画サイトに投稿した音楽にイラストが付いて、そのぶつかるさま。そして、見てくれた人がワーッ!となるのがsupercellという現象みたいだったんです。台風と台風がぶつかってより大きくなることを表わす言葉なんですが。それがそのままユニット名になりました。

――前作以上にイラストやパッケージに凝ってますね。

ryo デザインやパッケージも含めてsupercellなんです。そのひとつとして音楽も楽しんでもらえたらいいなと。読む音楽というか、耳で聴いて目で楽しめる感じ。それに他のジャンルとぶつかるというのが活動の中の必要事項としてあるんです。今はイラストと音楽ですが、今後はほかにもぶつかる対象が出てくるかもしれません。


――今作は初音ミクではなくnagiさんがボーカルで。

ryo ファーストは初音ミクがボーカルのバンド。セカンドはnagiさんがボーカルのバンド。というイメージですね。


――聞き比べてみると違いは匿名性の有無かなとも思いました。

ryo
 ミクのほうはエレクトロニカのような、アーティストではなく曲が好きという感じで、匿名性の高さは確かにあるかも。生身の人間が歌うとどうしても本人のイメージは付きますよね。制作する上では作業自体、ボーカロイドも生身の人間もそんなには違わないんですよ。ただ、人間だと無理な音域があるってことと、そのひとの得意な音域も違うので、音楽的にはキーが高いか低いかっていうのがありますよね。それに人である特徴である実際に息を吐いたり吸ったりする流れのなかで、歌っていてきもちいいかどうかとか。プラス無理なフレーズがないってことが一番の違いだと思います。
 

DTMの垣根がなくなって、裾野が広がった

――前作のお話にもなってしまうのですが、よければ、以前使用していたボーカロイドの話しもぜひ伺いたいのですが。

ryo もともとは電気屋さんで買ったんですよ。ソフトが出たときに友達から教えてもらって。PCで打ち込む場合歌だけはちゃんと録音しないとできなかったんですよ。マイクをつかうしかなくて唯一のアナログの作業が残されていたんですけど、そこの作業がボカロを使うことでなくなったんですよね。それで完全に全部の音楽を表現できるようになって、それがなによりすごく素晴らしいことと思いました。もともと楽器というよりはふつうの量販店で売っているし、今でもそうだとおもいますけど、ヨドバシ、ビッグ、ヤマダ電機ならばどこにいってもあると思うんですよね。どんなに小さなコーナーでも。ほかのソフトだとDTMコーナーにいってもやっぱりなくて、あってもほしいものがあるとは限らない、でもボカロソフトはどんなところでも必ずありますよね。すごくDTMの垣根がなくなって、裾野が広がった感じがあるんですよね、それとPCがあれば音楽制作がいつでも楽しめますし。音楽がより作る側でより楽しめるようになったなって思います。聴くだけではなくて、だれでも手が届かないほど値段も高くないし、誰でも楽しめるのがよさだと思いますよね。


――それに歌い手をスカウトしなくていいもですしね。

ryo そもそも歌って!ってなって、いいよっていってくれる人もいないですしね。


――前作と今作はある意味、対極なので、2枚で一枚なのかなとも。これをつくったことで次の3枚目が個人的には楽しみで、今まで以上に表現が自由になるような予感があるんですよね。

ryo 今はまだわかりませんが、そうなのかもしれないですよね。


――ちなみに制作のPC環境についても教えて頂けますか?

ryo WINDOWSですね。でもMacももってます。エアーとマックブックプロ。でも自作していった方がコストパフォーマンスがいいので、自作派です。なんだかんだでお金かかるんですけど、出来合いのもの買うよりはいいっていう。自作歴は8年くらいですね。週アスもよく読んでましたし。今はCorei7のExstream、990XでPCを組むつもりだったんですけど、あれこれ眺めてたら、組むのは4月くらいになりそうです。
 

生活のお供にしてもらいたい

――アルバムの話に戻りますが制作中意識したことはなんだったのでしょうか?

ryo 前作がひとつ享楽的につくった感じがあったので、今回は“毎日の感情の流れ”をパッケージしようと考えて制作しました。嬉しい日、悲しい日などの喜怒哀楽をきちんと表現したくて。年齢の設定もとくにはないです。歌詞に出てくる主人公はほぼ女性なんですが、そこにある気持ちは男女共通していることだと思いますね。


――とても現実的な歌詞ですよね。

ryo そんなドラマティックなことは毎日起こらないですよね。だから特別なことを描くのが真実だとは思えないし、そういう気分だったんですよ。夢物語りよりは現実語りって感じです。その部分を盛り込んでないんで、リアルで、突飛な印象がしないんだと。でもそれが人生だと思うんです。


――それはあえての選択ですか。

ryo あえてというよりは毎日iPodとかに入れて生活のお供にしてもらいたいんです。音楽が自分にとっては、無二の友達な感じなんで。曲もいろんな味に仕上げたし。物事が変化するこの時期に近くにいて味方になってくれる音楽をつくったつもりなので1曲でもいいので、側に置いてくれたら嬉しいですね。


――では最後に、この1枚はryoさんにとってどのような作品なのかもぜひ教えてください。

ryo そうですね……実は10年後の自分にむけてみたいな部分も今作にはあるんですよ。10年後の自分がこのアルバムを聴いてこんなのつくってたな、若いなと懐かしめたらいいなと思ったんです。きっと10年もいろいろやっていたら幅が広がってくるので、こんときの全力がこれだったんだって。高校の部活動を見返したときみたいな。その当時は精一杯だったんだ!というのをパッケージしたつもりなんですよ。
 

【プレイリスト】
今回はryoさんに
“生まれ変わったら、こうなりたいアーティスト&やってみたい音楽”というお題でプレイリストを作成していただきました! ちなみにryoさん曰く「歌うことは大好きですが、あまり上手くないんですよ。なので将来の夢は180センチで歌って踊れる8等身アイドルです!」だそう。選定理由とともに、お楽しみください。

【1曲目】
Justin Timberlake
『Sexy Back』(アルバム『Future Sex/Love Sounds』収録)
坊主が似合って、スーツ姿もかっこいい。本当にこうなりたいです。しかも楽器ができて勤勉。すごい!

【2曲目】
Justin Bieber
『Baby (feat.Ludacris)』(シングル『Baby (feat.Ludacris)』収録)
若くしてこういうのは正しくアイドルですよね。同じネット出身としては悔しいです(笑。

【3曲目】
Audioslave
『Cochise』(アルバム『Audioslave』収録)
ソフトマッチョでロックなのにセクシー。ジーンズに白Tをインしても大丈夫な感じがいいです。

【4曲目】
Britney Spears
『I’m A Slave 4 U』(アルバム『Britney』収録)
男から見た理想像っていうか。女子に生まれたらこうなりたい。そして男どもを魅了してやりたいです。

【5曲目】
KAT-TUN
『ULTIMATE WHEELS』(シングル『ULTIMATE WHEELS』収録)
自分でやってみるとわかるんですけど流し目でウィンクが決まる男ってなかなかいないんです。でも、彼らはできる! ギャップ萌えもイイ。

 

Today Is A Beautiful Day

【ニューアルバム】
supercell ニューアルバム
『Today Is A Beautiful Day』

それでも日々は美しい!?

あくまでもリアルに、日々の喜怒哀楽を音で鳴らす新作。他愛のない日常にはいろいろなすてきが実は詰まっている事が再確認できる!?●初回盤3900円 通常盤3059円 ●3月16日発売 ●ソニーレコード

【プロフィール】
コンポーザーのryoを中心としたユニット。ニコニコ動画で話題になりメジャーデビュー。イラストレーターやデザイナーも多数所属するクリエイター集団でもある。
http://www.supercell.jp/
 

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