週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

日本でも14万人が利用中! 人気オンラインサービスEvernote フィル・リービンCEO インタビュー

2009年11月02日 00時00分更新

EverNote CEO フィル・リービン インタビュー

 ― Evernoteを始めるまでのいきさつを教えてください。

 Evernoteの前は、企業向けにセキュリティーと画像管理のシステムを作っていたのですが、もっとコンシューマーに広くアピールするサービスを始めたかったのがきっかけです。2年前にカリフォルニア州マウンテンビューにEvernoteを設立し、ベータ版サービスは2008年6月にスタートしました。

― 創立時のメンバーは何名ですか?

 30名です。現在は従業員33名なので、ほとんど増えていません。ウィンドウズ版クライアントの開発に14名、2~3名がウェブサービスを開発しており、残りのアプリにそれぞれ2~3名ずつ割り当てています。

― Windows、Mac、iPhone、Windows Mobile、Blackberryと、さまざまなOS用にクライアントソフトがありますが、すべて自社で開発しているのですか?

 各種ソフトは、90パーセントを自社開発しています。Blackberryなど、一部の携帯電話用アプリだけ外部に委託しています。

― Evernoteのシンボルマークは、なぜゾウなんですか?

EverNote CEO フィル・リービン インタビュー:ロゴ

 アメリカには、「An elephant never forgets(ゾウは絶対忘れない)」という慣用句があり、ゾウは記憶の象徴となっています。そこでこの動物をシンボルマークに使うことにしました。ただし、ゾウはアメリカの政党である共和党のシンボルでもあるので、政治との結びつきを感じさせないように、色合いなどは気を付けました。最初のデザイン案は、マーケティング担当副社長のアンドリューが考え、それからデザイナーに発注しました。

― 登録ユーザー数は何人ですか?

 2009年10月現在、170万人です。毎日5000人の新規ユーザーが増えています。国別に見ると、アメリカのユーザーが全体の68~69パーセントと最も多いですが、次は日本人で、全体の8パーセントを占めています。英国(3パーセント)よりも多いのが興味深いところです。

― アクティブユーザー数は?

 会員登録後、一カ月後も使い続けるユーザーは約50パーセントで、その後はあまり比率が下がらないのが特徴です。現在、約50万人のアクティブユーザーがおり、8パーセントが有料のプレミアム会員です。Evernoteのユーザーは、男性72パーセント、女性28パーセントで、スタートアップサービスにしては女性ユーザーの比率が高いほうなのですが、半々くらいまでに女性ユーザーを増やしたいところです。

― 収入源は?

 一番の収入源はプレミアム会員で、これがもっとも大きいです。次が広告による収入ですが、比率はあまり高くありません。三番目にライセンスによる収入があります。当社の画像OCR技術やインクペン技術を日立などにライセンス提供しており、そこからも利益を得ています。

― サービスを支えるサーバーや回線は?

 Evernoteのサービス用には40台のPCを使っています。ほとんどの作業をユーザーのクライアント側で行うので、サーバーの負荷はそれほど高くありません。データを同期するだけなので、今のところこの台数で問題ないですが、将来的にはサーバーはアウトソーシングも考えています。

― 他のサービスと比べてのメリットは?

 APIを公開しているところです。昨年10月にEvernoteのAPIを公開して以来、現在500の開発者がEvernoteのAPIを利用しています。たとえばiPhone用スキャナーアプリのJot+Noteとか、ボイスリマインダーのreQallなど、他社が開発したアプリにより、Evernoteの使い勝手がよりよくなっています。

Evernote CEO フィル・リービン インタビュー:フィル・リービン CEO

― 現在、ウィンドウズ版とウィンドウズモバイル版のクライアントでは、手書き入力のテキスト化ができますが(認識するのは英語とロシア語のみ:インタビュー時点)、MacやiPhoneのクライアントではできません。これはOSの機能を利用しているのですか?

 いいえ、当社独自の技術を利用しています。MacやiPhone用にもこの機能を今後搭載していく予定です。

― 現在EverNoteでは日本語OCRと手書き認識ができませんが、解決されますか?

 日本ユーザーは米国についで多いので、インターフェースの日本語化は、今年中には行う予定です。OCRと手書きの日本語対応は、来年8月をメドに開発中です。

― 顔認識や画像認識機能を搭載する予定は?

 顔認識技術はもう相当実用化が進んでおり、Evernoteでも取り入れたいと考えています。画像認識技術はまだ開発途上で、すぐ実用になるものではないので、しばらく様子を見て考えます。Evernoteは、技術のショーケースではなく、一般のユーザーがいかに簡単に使えるかを一番に考えているので。でも、レストランのロゴから店の名前を確定できたりしたらおもしろいですね。

― iPhoneで全部のデータベースをダウンロードして、ネットに接続していない状態でも見られるようにすることは可能ですか?

 それも考えています。デスクトップ版だと、2GBのデータベースをダウンロードするのに15分くらいなので、iPhoneでも可能だと思います。全部ダウンロードするのか、最初の100MBだけダウンロードするのか、選択できるようにするとか。実装されるまで2ヶ月くらいかかるので、12月ごろになると思います。

― 今後クライアント版を有料化する予定はありますか?

 クライアントはすべて無料にしたいと考えています。プレミアム会員費で十分やっていけるので。

― リービンCEOはどのようにEvernoteを使っていますか? よかったらノートを見せてください。

EverNote CEO フィル・リービン インタビュー:リービンCEOのノート

 私自身、Evernoteを「外部の脳」として、一日に何百回も使ってますよ。いま3000件くらいのノートが貯まっていますね。たとえば飛行場で駐車したら、写真を撮ってEvernoteにアップロードすれば、GPS位置情報入りのノートになるので場所を忘れずにすみます。旅行中は食事風景を毎回写真に撮って保存してます。パッケージ写真の文字を認識してテキスト化してくれるので、あとから検索できるし。本でいいレシピを見つけたら、それも写真に撮ってEvernoteにアップし、OCRでテキスト化してます。人と会ったら、もちろん名刺も保存します。

 あと、MacのスクリーンセーバーにEvernoteフォルダーを登録して、パソコンのアイドル時にEvernoteの画像を表示させてます。ほかの人から見たらまったくおもしろくないでしょうが、自分にとっては記憶をよみがえらせる興味深いスクリーンセーバーになってます。

■エバーノート公式サイト 
Welcome to your notable world | Evernote Corporation

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります