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私→WRC

第12回

茂原の女王から世界の女王へ! WRCにスポット参戦決定

2020年01月16日 15時00分更新

茂原(千葉)から世界に羽ばたく!
茂原の女王がWRCに参戦決定!

 女性だけのチームでWRCを目指すウェルパインモータースポーツは、東京オートサロン2020にて今年の活動計画を発表、世界ラリー選手権(WRC)にスポット参戦することが決定した。

 茂原の女王ことドライバーの板倉麻美選手、コドライバーには元SKE48の梅本まどか選手で挑む。参戦ラウンドは10月15~18日のWRC第12戦ドイツ、そして11月19~22日のWRC最終戦ラリージャパンの2戦。マシンは丸徳商会が所有するトヨタ・GT86CS-R3を運用し、マシン名にもあるとおり、WRCの二輪駆動車カテゴリーであるグループR3に挑む。なお、路面は両方ともターマック(舗装路)で、サーキット走行中心の板倉選手に合わせたと松井 悠監督。

 もちろん昨年に引き続き全日本ラリー(JRC)にも、スポット参戦する。スケジュールは3月13~15日の第2戦新城ラリー2020、5月2~4日の第4戦Summy 久万高原ラリー、6月11~14日の第6戦MONTRE 2020の3戦。いずれもターマックだ。マシンは昨年同様、トヨタから貸与されたラリー用スポーツCVTを搭載したトヨタ・ヴィッツ GR SPORTで戦う。

幕張メッセに到着したばかりだった、トヨタ「GT86CS-R3」。車両を販売するTMG(Toyota Motorsport GmbH)のカラーリングをまとった状態で納車された

 オートサロンではウェルパインモータースポーツのブースも出展し、参戦発表をするだけでなく、前述の2台のラリーカーの展示や、俳優でありラリーストの哀川 翔さんを招いてのトークショー、そして筆者と松井監督による生配信などを行なった。また別記事で紹介するが、板倉選手がヤリスWRカーのデモランに同乗して、一足お先に世界を体験している。

 全日本は前輪駆動、WRCは後輪駆動なので、ドライバーの板倉選手にとっては試練だ。さらに全日本とWRCではペースノートも変わってくるのでコドライバーの梅本選手も同じく試練を乗り越える必要がある。だが、かたや愛車のインプレッサを45万kmも乗る女性、かたや二輪と四輪の業界から数々のラブコールを受ける女性。このふたりならきっと全日本もWRCも駆け抜けてくれるだろう。

あまりにも直前に届いたので、この時点ではエンジンのかけ方すらわからない状態だった

昨年、5回転したものとは違うが、今年全日本ラリーに出場するヴィッツ

 前回のWRC挑戦から12年(関連記事)。松井監督の悲願が達成されるときがやってきた! 松井監督は「前は“ドライバーとして出場”することが目標だったけど、今年はメインスポンサーに手を挙げていただいた丸徳商会さんのおかげで、チームとして参戦できることになりました。ドライバーとコドライバーを引き受けてくれた板倉選手と梅本選手にも感謝です。ようやく我々の夢が叶うんです! でも、ラリードイツとラリージャパンの間があまりないので、ドイツでクルマを壊しちゃうとジャパンに間に合わない可能性があるんだよね……」と、最後は弱腰に。

トークショーのMCはモータースポーツジャーナリストの古賀敬介氏

 スポットとはいえ、プライベーターがさまざまな協力を経てWRCに参戦する。これは非常に夢がある話だ。ドライバーの板倉選手だって、千葉の茂原サーキットを走っていたらスカウトされて、あれよあれよという間に世界最高峰のステージで走る。「まだ全然実感ありません。自分の世界の話じゃないみたいで」と板倉選手。あまりにも非日常なこの展開を受け止め切れていないようだが、茂原で培ったテクニックを、世界の舞台に存分にぶつけてもらいたい。

ウェルパインモータースポーツブースの華、senaちゃん。数年ぶりのコンパニオン復帰がこのブースだったらしい

 なお、ラリードイツはターマックながら3種類の路面があり、有名なのはブドウ畑の中の農道を走るコース、戦車も走るコンクリートのコースでバウムホルダー軍事演習所内にあるパンツァープラッテ、平原を駆け抜ける高速コースだ。いずれも雨が降ると極端に難易度があがるため、松井監督の対策としては「雨が降らないように祈る」とのこと。ドライバーとしてはかなりチャレンジングなコースのようだ。

見た目は普通の86だが、中身は純然たるラリーカー

エンジンはドライサンプ化され、低重心を実現している

フルバケットシートと、余計なものが取り払われた車内

 そしてラリージャパンは、見慣れた民家の間を通ったり、風光明媚な農道を走るなど、日本ならではのコースになる見込みだ。ターマックなのでハイスピードコースになりそう。プレイベントの「セントラルラリー」では板倉・梅本両選手は苦戦していたが、ここはホームの意地を見せるしかないだろう。特に梅本選手のとっては地元なのでなおさらだ。

 ついに日本やってくる世界最高峰のラリーイベント。ぜひ、ウェルパインモータースポーツを応援してほしい。そして、板倉選手によるラリー連載もまだまだ続く!

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