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テクノロジーと公衆衛生

2020年01月07日 12時00分更新

公衆衛生において、テクノロジーの活用は相性がいい

 日本の場合、公衆衛生として扱われているのは、インフルエンザに加えて、水疱瘡やおたふく風邪、日本脳炎などの伝染病予防、最近すっかり定着したメタボ対策に代表される生活習慣病対策、精神衛生、商品衛生、住居衛生、上下水道、公害対策、労働衛生も含まれます。

 この分野に、テクノロジーの活用は相性がいいように思います。

 たとえば、Apple Watchが登場してフィットネス機能にフォーカスされていたとき、企業や保険会社がApple Watchを配る例が出ていました。Apple Watchによってよりアクティブになることで、生活習慣病の予防に効果を発揮するのではないか。数年に1度の3万5000円の支出のほうが、毎月35万円の治療費をカバーするよりはるかに安いことは明らかですよね。

 予防だけでなく、公衆衛生が脅かされるデータが集まってくるタイムラグをなくすこともできるかもしれません。

 圧力センサーが備わっていて呼吸を計測する小石のようなデザインのガジェット「Spire」は、2016年にトランプ大統領が勝利した直後の人々の呼吸データを分析し、州ごとのストレスレベルの高まりを顕著に捉えたそうです。

 精神衛生に影響する可能性があるとして、なんらかの対策を取るようアドバイスを真っ先に出せるデータを確認できたと言います。このデータとは関係ありませんが、実際UCバークレーでは当時、学生に落ち着くよう呼びかけ、カウンセリングを提供していました。あまり良い例えじゃない気もしてきましたが。

 一方、テクノロジーの安全、個人のデータの保全も、ある種の公衆衛生に含まれるかもしれない、と筆者は考えていました。マルウェアやSNSを通じて拡がる情報の不正利用は、広がってからでは対策が難しくなり、被害が拡大し続けると言う点で、似た特性を持っていると思うからです。

 対策も色々あります。セキュリティをガチガチに固めることも一つの手ですが、過信が生まれればユーザーから崩されてあまり良い結果を生まないでしょう。アプリやサービスをわかりやすく設計することも、使っている人の習熟度が上がりやすくなるようストーリーを作ることも、良い対策だと思います。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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