2020年になり、日本ではまだまだお正月気分が抜けない人が多いことでしょう。今年のお正月は1月1日が水曜日だったこともあり、2019年の12月28日(土)から1月5日(日)までたっぷり9日間休みを取った人も多いと思います。12月上旬くらいから忘年会が始まり、1月は1月で中旬過ぎまで新年会が続くという、仕事どころではないのが日本の正月前後1ヵ月です。
ところが中国を見ると、2019年12月になっても続々と新製品が発表されました。12月中旬以降を見ると、12月10日にシャオミが「RedMe K30」「同5G」、12月16日にVivoが「X30」「同Pro」、OPPOが12月26日に「Reno3」「Reno3 Pro」を発表しています。しかもReno3シリーズは12月31日に発売です。
日本の感覚では年末年始に新製品を出すだなんて、お正月はお店も休めずやっぱり中国はブラックだな、なんて思うかもしれません。しかし、実態はそうではないのです。
アジアの多くの国では1月1日は新年で祝日ですが、12月31日、1月2日は平日です。つまり年末年始の連休はありません。これは暦の上だけではなく企業やお店も同じです。その代わりお正月を祝うのは旧暦のほう。今年のお正月の元日は1月25日です。
そのため1月1日でもまだ街中にはクリスマスの装飾は残ったまま。1月になってから少しずつお正月の飾りつけに入れ替わっていくのです。ちなみに、旧正月は旧暦ですから毎年日にちは変わります。2020年は1月25日ですが、2021年は2月12日になります。
スマートフォン新製品も多数発表される世界最大の通信イベント「MWC」は、以前は2月中旬に開催されましたが、いまは2月下旬になっています。これは年々中国企業の参加が増え、存在感も高まったことから旧正月に考慮して開催日をずらしたのです。香港在住の筆者もMWCが旧正月期間に被ったときは、ヨーロッパへの航空券代が高くて難儀したこともあります。
実際に筆者は2014年12月29日、北京で開催されたSamrtisanのスマートフォン「T2」の発表会を取材したことがあります。月曜日でしたから北京の街中は仕事をする人であふれていましたし、発表会には新年を祝う飾りつけもありません。そのまま当日夜から新製品の予約も開始されました。
このように12月の新製品発表会は、旧正月に向けての(旧暦の)年末年始商戦向けの商戦に向けて行なわれるのです。お正月にサイフのひもが緩むのは中国でも変わりません。つまり12月の新製品発表会は、日本でいえば11月に開催されるようなイメージです。
そういえば2019年12月9日にシャオミは日本市場参入の発表会を行ないました。日本ではもう年末に向けてあまり仕事はしたくないな、なんて雰囲気になっていましたが、本国(中国)側のマーケティング担当者は中国の暦のイメージで日程を決めたのではないかと思われます。
筆者は香港に20年住んでいるため、今では12月末の日本側の「まもなく正月!」という雰囲気と、香港の「1月1日以外はバリバリ仕事だ」というギャップに悩まされてしまいます。年末年始に香港に遊びに来る業界関係者の方に「12月30日に打ち合わせでもどうですか」というのも申し訳なく思います。しかし、12月31日に香港で中国メーカーの方とあってCES関連の話を聞いたりもしているのです。
一方で、旧正月は日本の方にとって「1月の寒い中、なにをいまさらお正月やっているんだろう」というイメージでしょう。日本のお正月はクリスマスから続く大々的なイベントですから、それが終わるとあとは長い真冬に入り、バレンタインデーが盛り上がるくらいでしょうから。しかし、中国では旧正月こそ大イベント。深センの電脳街も前後2週間くらいは休みになりますから注意が必要です。
1月7日にはRealmeが「X50」を発表。日本では「新年最初の新製品」というイメージですが、中国では「お正月前の(おそらく)最後の大型新製品」という捉え方をしているのです。毎週・毎月のようにスマートフォンが発表される中国ですが、旧正月前後1ヵ月はその動きも休みとなり、しばし静かな日が続くのです。旧正月明けの新製品は、おそらく2月末のMWCに合わせて出てくるでしょう。
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