VWの新型コンパクトSUV
「Volkswagen T-Cross」レビュー
今、急拡大中のコンパクトSUV市場に一矢報いるべく、フォルクスワーゲンが「Tクロス」(Volkswagen T-Cross)を登場させた。その破壊力がスゴイ! ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などの安全装備を充実させ、SSDカーナビ「Discover Pro」まで搭載しながら300万円を切る299万9000円を実現したのだ。今回は日本にサンプル導入された「Tクロス」に一足早く試乗した。
Tクロスは同社のポロと共通のモジュラーユニット「MQB」(Modulare Quer Baukasten)を用いているが、外観を見た印象はポロの兄弟車というよりも兄貴分のティグアンに近いデザインだ。横基調のフロントグリルや「リフレクターバンド」と呼ばれるリアガーニッシュを備えたことで、十分なワイド感も持たせている。
ボディーサイズはポロよりも全方位に少しずつ大きく、全長4115×全幅1760×全高1580mm。その一方でホイールベースは2550mmとポロと同一。SUVならではのゆとりあるボディーを実現するのと同時に、ポロに匹敵する取り回しの良さまでも実現しているのだ。
試乗できたのはベーシックな「TSI 1st」に、レーンキープアシストやハイビームアシスト、18インチタイヤなどを装備した導入記念特別仕様車「TSI 1st Plus Design Package」だった。この仕様では、ホイール、ドアミラーにオレンジ、グリーン、ブラック(ホイールはシルバー)の3色塗装が施される。なお、Tクロスはスペインで生産されたモデルが輸入される。
高いアイポイントと
手が届くスイッチ類
室内に乗り込むとボディーと同色のダッシュボードと、明るい配色シートがSUVらしい遊び心を伝えてくる。ポロよりも着座位置を100mm高くしただけあって、アイポイントが高めとなっており、運転席から周囲を眺める視界はすこぶる良好。これなら初めてSUVに乗る人でも楽にコントロールできそうだ。車内の広さも外観から想像する以上にゆとりを感じさせる。その要因はポロよりも130mm高い全高にあるように思う。加えてシートの座面の高さも適度で車内への乗り込みがとてもスムーズにできる。操作部も無理なく手が届く位置にあり、操作で迷うことはほとんどなかった。
ただ、エンジンをかけようとした時、一瞬だけ「あれ、スイッチはどこ?」となった。実は運転席の位置からだとエンジンスイッチはシフトレバーの陰になる位置にある。加えてボンネットフードのオープナーも助手席側で、ふと気付くとパーキングブレーキも助手席側にシフトして配置されていた。その理由は、左ハンドル車と右ハンドル車で共通化したからにほかならない。もちろん、ワイパーなど安全上に関わる部分は右ハンドル車用に対応しているわけだが、特に困らない部分はコスト削減の目的もあり、グローバルで共通化を図ったというわけだ。
後部座席はまさに人を乗せる用
次に後席に座ってみた。ここは想像上に心地良さを感じさせる空間だった。後席にありがちな埋もれ感が一切ないのだ。その要因が前席よりもップポイントを高くしたことで、前方の視界が開けるように見通せることにあるのだという。バックシートの高さも十分で、ヘッドレストを上げることなくそのまま座れるのも好印象。また、シートの座面には140mmのスライド機構を備えた。これによって、後席の広さを自在に変えられると同時にカーゴスペースの拡大にも役立つというわけだ。このスライド機構は座面全体が動くタイプではあるものの、バックシートは6:4分割式となっており、実用上の使い勝手は悪くない。ヒ
このカーゴルームは床面をボードによって二段階に使い分けができる仕様となっていた。このボードの切り替えは片手でも簡単にできる扱いやすさを実現しており、ボードを上にした時は床下に汚れものを隠しておけるし、下にすればスーツケースならタテに並べて収納することができるほど余裕が生まれる。カーゴルームとしての使い勝手はかなり良さそうだ。また、細かいところでは、倒した後席のバックシートを元位置に戻しても、簡単にシートベルトが引き出せるのも配慮が行き届いている感がある。
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