週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

推奨280mmのRyzen 9 3950XはHydroの240mmラジエーターで戦えるのか!?

16コアのRyzen 9 3950Xを搭載! 定番水冷「G-Master Hydro X570A」の驚くべきキャパシティー

2019年12月29日 19時00分更新

 第3世代Ryzenのうち、ソケットAM4を採用したメインストリーム最強クラスCPUとして登場したRyzen 9 3950X。他の追随を許さない16コア32スレッドの圧倒的なパワーで、動画編集からゲームまで、パワフルにこなせるCPUとして人気がある。

 このCPUを搭載したBTOパソコンは多数発売されているが、中でも気になるのが、CPUもビデオカードも水冷化したサイコムの看板モデル、「G-Master Hydro X570A」への搭載だ。TDP105WのRyzen 9 3950Xがしっかりと冷やせるのか、安定した動作は可能なのか、気になる細かな点を検証してみた。

「G-Master Hydro X570A」はデュアル水冷で静音性と高性能を両立したモデル

 検証を始める前に、まずは「G-Master Hydro X570A」がどんなBTOパソコンなのかを紹介しておこう。

 そもそも「G-Master Hydro」シリーズは簡易水冷クーラーを使ってCPUを冷やすだけでなく、独自にビデオカードにも簡易水冷クーラーを装着した“デュアル水冷PC”の総称だ。高い冷却性能と静音性を両立したモデルとして人気があり、ある意味サイコムの顔ともいえるモデルとなっている。

 多くのBTOパーツに対応し、好みのスペックにカスタマイズできるのが特徴なのだが、今回ここにCPUとして「Ryzen 9 3950X」が追加されたわけだ。このCPUが別格だというのはBTOメニューを見てもらえるとわかる。通常、G-Master Hydroでは120mmのラジエーターを採用した簡易水冷クーラーが標準となるところ、Ryzen 9 3950Xを選んだ時だけは240mmが必須となっているのだ。

「Ryzen 9 3950Xをご選択の場合~」という注意書きで、240mmラジエーターの2モデルから選ぶよう指定してある。他のクーラーを間違えて選ばないよう、「!」マークが付いているのも親切だ

 間違えた構成にならないよう「!」マークで注意が促されるほか、そのまま購入できてしまわないよう、「お見積り・ご注文」ボタンを押しても先に進まないよう工夫されているのがありがたい。

 今回試用した評価機の主な構成は以下の通りだ。ただし、評価機に搭載されていたCPUクーラーはBTOメニューでは選択できないものだった。とはいえ同じ240mmの水冷クーラーということで、今回はこの構成のまま検証している。

G-Master Hydro X570A
試用機のスペック 標準スペック
CPU Ryzen 9 3950X(3.5GHz、16コア/32スレッド) Ryzen 7 3700X(3.6GHz、8コア/16スレッド)
CPUクーラー CoolerMaster MasterLiquid 240 Asetek 650LS + Enermax UCTB12P
グラフィックス GeForce RTX2070 SUPER 8GB+Asetek 740GN水冷 GeForce RTX2070 SUPER 8GB+Asetek 740GN水冷
メモリー 32GB(16GB×2) 16GB(8GB×2)
ストレージ CFD CSSD-M2B1TPG3VNF(1TB) Intel SSD 660p Series(512GB)
マザーボード GIGABYTE X570 AORUS ELITE ASRock X570 Extreme4
価格 34万4650円 ※ 24万8020円
※CPUクーラーに「Corsair H100i PRO RGB」選択時

冷却性と静音性に定評ある「DEFINE R6」を採用

 「G-Master Hydro X570A」のケースとして採用しているのは、Fractal Designの「DEFINE R6」。サイドパネルに強化ガラスを採用したモデルで、ケース内部のパーツまでしっかりと見せられるデザインとなっている。

 DEFINE R6が優れている点は、冷却性能と静音性を両立できることだ。冷却性能を高めるために通気性を重視した場合、フロントパネルをメッシュにするのが効果的だが、こうすると内部の騒音がそのまま外部に漏れだしてしまうため、当然騒音も大きくなる。

 これに対しDEFINE R6は吸音材が貼られたフロントパネルで、前面をガード。内部の騒音を正面に漏れにくくすることで、静音性を高めているわけだ。

 もちろん通気性も確保するため、フロントには2つの大きな吸気ファンを装備。メッシュフィルターによりホコリの侵入を阻むため、PC内部にゴミが入り込む心配はない。このフィルターは簡単に取り外せるため、掃除も簡単だ。

フロントパネルの裏側に吸音材を装備。ケース内部の騒音を可能な限り漏らさないよう工夫されている

フィルターは手で簡単に取り外せる。外すと内部に2つの大きなファンがあることがわかる。このファンで、外気をしっかりと取り入れる

多くのストレージを搭載可能な優れた拡張性

 3.5インチや2.5インチのHDDやSSDといったストレージを装着するベイは、本体右側面、ガラス張りではない方に用意されている。取り付け方法は簡単で、ベイからトレーを外してドライブをねじ止めし、元に戻すだけだ。

3.5/2.5インチ兼用のベイと、2.5インチ専用ベイの2種類を用意。ドライブを装着した後、ケーブルで配線する

トレーの数は、3.5/2.5インチ兼用が6つと、2.5インチ専用が2つ。これだけあれば、ストレージの増設で困ることはない

 これらのベイはすべて内部ベイとなっているが、実はケースの最上段に5インチベイを1つ装備している。フロントパネルでドライブベイがないように見えるが、パネルの内部にしっかりと用意されているのがうれしい。

 なお、標準で搭載されているのはDVDスーパーマルチドライブだ。BDの再生/作成をしたいというのであれば、忘れずにBTOオプションからBD対応のドライブへと変更しておこう。

ケース最上段に5インチベイがあり、そこに光学ドライブを搭載。出番は少なくなったが、今でもDVDやBDをよく使うという人であれば重宝するはずだ

インターフェースは背面に集中
フロントは天面手前にUSB×4を装備

 インターフェースに関しては標準的で、マザーボードのバックパネル部、そしてケースの天面手前で利用。今回評価機に搭載されていたマザーボードは「GIGABYTE X570 AORUS ELITE」で、どちらかといえばシンプルなモデルだが、USB2.0×4、USB 3.2 Gen1×4、USB3.2 Gen2×2と豊富なUSB端子を備えているのが特徴だ。

 天面手前のUSB2.0×2、USB3.2 Gen1×2も合わせれば、合計16ものUSBポートとなる。これだけあれば、周辺機器やマウス、キーボード、USBメモリーなどの接続で困ることはない。

マザーボードのバックパネル部分にあるのがメインのインターフェース。とくにUSBが多く装備されており、周辺機器を多数接続する人にうれしい仕様だ

アクセスしやすい天面手前にも、4つのUSBを装備。USBメモリーやSDカードリーダーなど、よく着脱する機器はこちらに接続しよう

 ユニークなのが、バックパネルのUSBのうち1つ(白いポート)がBIOS更新機能「Q-Flash Plus」に対応していること。BIOSファイルをダウンロードしてUSBメモリーに保存して置き、このQ-Flash Plus対応ポートに接続。この状態で電源を入れ、マザーボード上のQ-Flash Plusボタンを押せばBIOSを更新できるというものだ。

 もちろんBIOS設定画面などからでも更新できるのだが、このQ-Flash Plus機能であれば、CPUやメモリーすらなくても大丈夫というのが心強い。BTOパソコンであればあまり使わない機能だが、CPUやメモリーが壊れてPCが起動しない状況で更新したい、といった非常時に役立ってくれるだろう。

最大の特徴となるのが、2つの水冷クーラー

 「G-Master Hydro X570A」の最大の特徴となるのが、2つの水冷クーラーだ。まずはCPUだが、16コア32スレッドのRyzen 9 3950X搭載ということで、240mmの大きなラジエーターを装備した簡易水冷となる。

 ラジエーターは天面に装着され、排気が上方向となるよう2つのファンが装備されていた。

240mmの簡易水冷クーラーを採用。今回は評価機のためか通常のBTOオプションでは選べないクーラーだったが、サイズや装着位置に変わりはない

 もうひとつの水冷クーラーはビデオカードを冷やすもので、こちらはサイコムが独自にビデオカードを改造、装着したものとなる。そのため、カードのカバーの一部が手作業でカットされており、自作感のあるものとなっていた。

水冷化されていたのはGeForce RTX 2070 SUPER。こちらは120mmのラジエーターでの冷却となる

水冷化されたビデオカードのチューブ部分。根元部分が四角く切り取られ、チューブが外に出せるよう改造されているのがわかる

 ラジエーターの固定位置は、背面のケースファンがよく装着されている位置。つまりCPUは天面、ビデオカードは背面での排気・冷却となる。

 2つの水冷クーラー、しかも片方は240mmと大きなラジエーターとなっているだけにケース内は狭くなる……かと思いきや、背面配線が多用されていることもあり、意外とスッキリ。水冷クーラーのチューブも思っていた以上に目立っていなかった。強化ガラスのサイドパネルで常時内部が見える構造となっているだけに、見やすく美しくレイアウトされているのはうれしいポイントだ。

側面から見るとよくわかるが、ケース内部はケーブルが目立たずスッキリ。これならLEDテープなどでライトアップしても美しく光ってくれるだろう

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう