「破棄か返送を迫られました。破棄のほうがコストは安いのですが、植物を殺すのがしのびなく、数千万円の損害を出しても返送したのです。あれから輸入条件を猛勉強して、実践と共に積み上げていきました。あの出来事が、今の僕を作っている要素のひとつかもしれません」
今、西畠さんはその知識と手腕を見込まれて、多くの開発のプロジェクトやコンサルティングなどを行っている。それと同時に、さまざまなコラボレーションも手掛けている。
「最近では、手掛けた山口県宇部市ときわ公園とデジタルアートの『チームラボ』がコラボレーションをして、『グラフィティネイチャー - 世界を旅する植物に住まう生き物たち』などが行われたり、キングコングの西野亮廣さんと、僕たちの地元であり500年の歴史がある植木の街・大阪府池田市のイベント『BOTAFES-ボタフェス-』で、シンボルモニュメントの制作を手掛けました」
いずれも、見たことがないような植物の「すごさ」を引き出すプレゼンテーションだ。多くの人々が参加して、世界を変えていくような勢いは続いている。
「見たこともないものを作ると、植物のファンが増えていきます。それが、僕の信条である、『ひとの心に植物を植える』ことにつながっていきます。多くの方と仕事をし、ここ数年は天才と呼ばれる方とひとつのものを作り上げてきました。やはりその過程で、新しいことは、なかなか人に理解されにくいとも感じています。今の目標は50年後に『西畠清順っていうおもしろい人がいて、よかった』と、後世の人に思ってもらうこと。これからも、自分の経験と知識を積み上げて、植物の魅力を、多くの人に届けていきます」
西畠清順(にしはた せいじゅん)
1980年10月29日生まれ。兵庫県出身。そら植物園 代表取締役。
21歳から日本各地・世界各国を旅してさまざまな植物を収集し、国内外の植物園、政府機関、企業、王族や貴族などから寄せられる依頼に応じて植物を届けるプラントハンターとして活動。
2012年、“ひとの心に植物を植える”活動を行う「そら植物園」を立ち上げる。 植物に関するイベントや緑化事業など、国内外のプロジェクトを次々と成功させ反響を呼んでいる。
著書に「教えてくれたのは、植物でした」(徳間書店)、「そらみみ植物園」(東京書籍)など。
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