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アップルの「アクセシビリティ」を学ぶ − 青森県のユニークな講座とは?

青森の障がい者・シニアがiPhoneを積極的に使える理由

2019年12月01日 10時00分更新

顕在化してきた人材育成の成果

 受講者からの反響を高森氏に聞いた。最初はiPadやiPhoneに不慣れだった参加者も、講習を重ねるに連れて次第にのめり込み、よりレベルの高いテクニックを身に着けることに対して、貪欲になっていくケースがとても多いのだという。最近ではApple Watchのアクセシビリティ機能を紹介するメニューを講座に取り入れたところ、Haptic Engineによる触覚を活用した通知機能やVoiceOverの機能に、多くの受講者が興味を示しているという。

選択したアプリやキーボードの文字をはじめ、デバイスの画面上で起きていることをすべて音声で読み上げる「VoiceOver」

 青森県には、この人材育成講座を実施していることをもっと広くアピールするべきだという声や、会場に足を運べない受講希望者のために、在宅でリモート受講ができるカリキュラムを作るべきという声も多く届いており、高森氏によるとこれまでに何度か実施した短期集中講座も盛況だったようだ。これまでの7年間に、26期の講座を県内で実施してきた結果、高森氏は各地域の人材育成講座を修了したサポーターが交流を深めて、そこから新しいネットワークが生まれる手応えもあると語っている。

 同講座は、来年も引き続き実施を予定している。今後も青森県と連携しながら、サポーターのさらなるスキルアップを図り、メインの講師を引き受けられるほど熟練した人材を育てることによって、講座の実施規模を拡大することが高森氏と青森県が期待するところでもある。高森氏は「今後も多くの方々がiPadやiPhoneを暮らしに役立てられるよう、さまざまな機会をつくっていきたい」と意気込みを述べていた。青森県の取り組みが、他の地域からも注目を浴びて広がる可能性もあるのではないだろうか。

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