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新型スカイラインの手放し運転可能なプロパイロット2.0は運転の楽しさをスポイルしない

2019年12月02日 12時00分更新

プロパイロット2.0を使うには
条件が色々ありまして……

 お楽しみの新機能、高速道路における運転支援プロパイロット2.0について。クルーズコントロール時の動作は大きく分けて3段階あり、これらを組み合わせて「ハンズオフ」動作を実現しています。前走車との車間を監視し追従する「インテリジェントクルーズコントロール」をベースに、車線監視をする「ハンドル支援」を組み合わせて「プロパイロット」となります。このプロパイロットに、GPSと高精度3Dマップデータを組み合わせたのが「プロパイロット2.0」で、この状態のみハンズオフ動作となります。

 プロパイロット2.0の使い方は、一般的なクルーズコントロールと同様で、ステアリングに設けられた青いボタンを押し、速度調整レバーを押下するのみ。あとは車間設定ボタンで3段階の車間距離から好みの場所を選ぶだけで、特に難しいことはありません。後述しますが、青いボタンの上が「承認ボタン」。これを押せば自動的に車線変更をします。

 このハンズオフ動作状態は常に行なわれるわけではありません。動作条件は、高速道路であるのはもちろんのこと……

  1. 年間2万円のプロパイロットプランに加入した状態でカーナビでルート設定がされていること
  2. 降雨や降雪ではないこと
  3. 60km/h以上、制限速度+10km/h以下(デフォルト値)であること
  4. GPSが受信できていること

という、大きく4つの条件が組み合わさった時のみとなります。つまり晴れていてもトンネル内ではハンズオフは利用できません。

 ハンズオフ可能状態は表示は青、ハンズオフ不可の時は緑、そしてインテリジェントクルーズコントロール時は白の表示と段階的に変わります。また、ハンズオフ状態の時は隣接車線の前後車両の位置情報も表示され、バックミラーを見ずとも混雑状況がわかるようになっています。似たような表示はテスラのModel3にもありますが、メーターパネル内で見られるのはとても便利です。

やったぜ日産! 硬派なスカイラインが戻ってきた

 それでは都内からスポーツランドSUGOへと向かいます。昼間に移動したいところですが、経費削減のため高速道路の深夜割引を利用すること、そして暗い高速道路でもプロパイロット2.0が利用できるか、という2点を検証するため深夜移動しました。

 一般道では、ダンロップ製のハイグリップランフラットラジアルタイヤと、引き締まった足回りにより「かなりコツコツした乗り心地だなぁ」というのが第一印象。深夜の住宅街だと排気音が気になりますが、ハイブリッドということもあってか比較的静かに走行できます。エコモードにすると、バッテリー利用比率が上がるためか、さらに静粛性が増します。スカイラインのハイブリッド動作は、エコのためというよりパワーアシストのような働きに感じました。

 筆者の場合、山手通りの地下を走る首都高中央環状線(C2)から東北道へ向かうルートになります。ここで燃料計測を0キロとして、地下へと潜ってみました。

 料金所を通過し合流し速度を上げていくと、道路のバンプを軽くこなしながらも手ごたえのある「スポーツ系の足」に思わず笑顔。さらにピタッと車体が安定しており、乗っていて安心感があります。以前、マイナーチェンジ前のスカイラインを試乗したことがあるのですが、その時はもっとマイルドで、いかにも高級車という乗り心地だっただけに、硬派なスカイラインが戻ってきたという印象です。

 しかもアクセルを踏むと、太いながらも上品なエキゾーストを山手トンネルに響かせながら、エンジンとモーターを合わせた374馬力/65.3kgf・mという同社フラグシップ「NISSAN GT-R」と同等のトルクがさく裂! 後輪駆動だからこそ得られる、身体がシートと一体化し、蹴とばされる感覚に「やったぜ日産!」と手放しに喝采です。

 C2はアップダウンがあり、さらに首都高らしい曲がりくねった所が多いのですが、オンザレールでトレースするステアフィールも心地よく、思わずスロットルを開けて攻めたくなりますが、ここは自制心を効かせてプロパイロット2.0を試すことにします。

ホントに手放しできる!
自分で運転するより安心

 お楽しみのクルーズコントロールをオンにすると、地下ゆえGPS電波は届かず、緑表示のプロパイロット動作、つまり車線と車間監視モードになります。

 認識はかなり早く、小刻みにハンドルを動かすようなことなく、安定して走行します。プロパイロット初搭載のセレナをはじめ、筆者はさまざまな日産車で運転支援を試してきましたが、このスカイラインに搭載されているものは、すぐに車線をロックします。そして日産リーフなどはハンドルが軽いフィールのためか、プロパイロットの動作が始まるとステアリングからシステムが介入している感じが伝わるのですが、スカイラインはステアフィールが重たいためか、それをあまり感じず修正量も少ない印象。車線変更などでググっとステアリングを切るとプロパイロット動作は外れるのですが、すぐに復帰します。

 山手トンネル、飛鳥山トンネルを抜け地上へ。江北JCTで左の車線から首都高速川口線へ向かう経路、頭上を上り線が通っていたりするなど屋根があるためかGPSはロックせず。結局、鹿浜橋ICあたりで表示が青になりハンズオフ可能となりました。走行中にハンドルから手を放す、というのは結構勇気が必要で「日産のことだから大丈夫なハズ」と信じて、勇気を振り絞りハンズオフ。緩やかなコーナーでも車が旋回しはじめるではありませんか! 矢沢永吉さんのCMのようなポーズをしてみたり。そして音楽を流そうとカーナビをいじったり。

 数秒間画面を見ていると「前を向いてください」という警告メッセージが。車内ではドライバーに向けられたカメラによって、常に監視している模様。

 驚くことにハンズオフ動作の方が、車が道を知っているという強みのためか、前出の緑状態のプロパイロットよりも一層安定していること。モニター上には、自車の前後を走行する車両の情報までリアルタイムに表示され、夜の車線変更も怖くありません! 体験したら「プロパイロット2.0のためだけにスカイラインが欲しくなる」こと間違いナシです。

 こうして車両は東北道の玄関口である浦和の料金所へ。しかしここで問題が発生。制限速度40km/hの標識付近で、車が急減速するではありませんか! 他車が100km/h近く出している中での急減速は、後続車に追突されるのでは? と不安になるほど。慌ててクルーズコントロールを解除し、アクセルを踏み事なきを得ました。法律を守っているプロパイロットに非はなく、現実の走りと法律が即していないために起こった事象と考えます。

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