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「カジュアルワーク」を推進

ダイドーは就業時の服装を自由化「スーツも私服も強制しない」

2019年12月02日 11時00分更新

飲料メーカーダイドードリンコが「カジュアルワーク」を推進。

 働き方改革の取り組みのひとつとして、スーツの着用を定めない企業が増えつつあります。大手飲料メーカー、ダイドードリンコは10月1日から就業時の服装を原則的に自由化しました。カジュアルな服装を解禁することでどのような効果があるのでしょうか。

「カジュアルな服装を強制しない」こと

 ダイドードリンコではリラックスできる服装での就業を可能とする取り組みを「カジュアルワーク」と名付け、10月1日から従業員の勤務時における服装の規定を自由としました。カジュアルワークを推し進めたダイドードリンコ 人事総務部人事グループマネージャー真野祐子さんに、服装自由化の目的や導入の上でのポイントをお聞きしました。

ダイドードリンコ 人事総務部人事グループマネージャー真野祐子さん。

真野祐子さん:カジュアルワークには2つの視点があります。リラックスできる服装で就業してもらうことによる身体的・精神的なストレスの軽減。それと、決められた服装を取り払うことで、よりイノベーティブな発想が生まれやすい環境づくり。社員の健康維持と、会社の発展に結びつく取り組みだと考えています。

――社員全員が服装自由なのですか? 営業部門は?

真野さん:カジュアルワークの対象はダイドーグループホールディングス全社員ですが、カジュアルな服装を強制するということではなく、営業部門の男性などはスーツを着用している社員も多いです。お客様とお会いするなどスーツ着用のほうがふさわしいシーンはビジネスにつきもの。ですので、TPOに応じて服装を判断してもらっています。また人によっては、カジュアルだとかえって着るべき服装に困る、スーツのほうが働きやすい、といった話も聞きます。そのような場合は、スーツで出社していることもあるようです。

――完全カジュアル化ではないんですね

真野さん:あくまで、カジュアルな服装は選択肢のひとつ。導入の際はビジネススーツの着用義務をなくし、“カジュアルな服でもスーツでもどちらを着用してもいい”というニュアンスで通知しました。着用できる服の選択肢が増えるというのは誰にとってもメリットなはずなので、反対の声もほとんどなかったように思います。

スーツを着たい人はスーツを着てもオーケー。

カジュアルでも「タンクトップ」「短パン」はNG

――どんな服装でもオーケーなのでしょうか?

真野さん:……というわけではないんです。実は導入時にいくつかNGな服装例を提示しました。例えば、短パン、タンクトップ、ダメージジーンズなどはふさわしくない、としています。

――なぜですか?

真野さん:心地よく仕事してもらう環境づくりが目的。自分がよくても見ている人が不快になる可能性がある服装の着用は避けてもらうようにお願いしています。また、特に定めてはいませんが、コスプレ、浴衣などもNGかなと。服装自由とは言っても、動きづらかったり生産性が下がる服装になってしまっては、あまり意味がありません。就業にふさわしい服装を着用してほしいと考えています。

――細かい話ですが、どのくらいの丈の短パンがNGなのでしょうか?

真野さん:厳密に定めているわけではありませんが、膝丈くらいでしょうか。男女ともにクロップドパンツは動きやすくかつ就業にも違和感はなく、アリだと思いますが、膝上になるとラフな感じが強くなってしまいますよね。そういった点も、なるべく常識的に判断してもらいたい、と思っています。

――実際問題、NG服装の提示があったほうが失敗しづらくてわかりやすいですね

真野さん:カジュアルワーク導入にあたって、すでに服装を自由化している他の企業様にいくつかヒアリングをしました。カジュアルな服装がオーケーで、なおかつ特に規定がないと、思い切ったラフな服装してくる社員がいたり、また、服選びに困ってしまうこともあるとかで。そこで、“ふさわしい服装はコレ”というのではなく、“コレは良くない”という例を提示することにしました。

家族との会話が増えた

――導入してみて社員の反応はどうでしょうか?

真野さん:女性社員は以前からオフィスカジュアルだったので、大きな変化があったのは男性社員です。スーツは清潔感やきっちりした雰囲気を与えられる一方で、“かたい”雰囲気になってしまいがち。カジュアルな服装を取り入れることで、社員同士で話しかけやすくなったという声をききます。また、私服なのでお互いの人となりも理解しやすく、会話のとっかかりが増えた、というエピソードも聞きました。

カジュアルな服装を導入して、これまで以上に社員同士が打ち解けやすい空気が生まれた、とか。

真野さん:あと、スーツじゃないので、仕事終わった後のプライベートな時間が充実したり、旅行にも行きやすくなるなど利便性の意味でメリットを感じている人は多いようです。女性社員だと、これまでビジネスシーンで履きづらかったスニーカーが解禁されたので、歩きやすくなって前向きになれた、という話も聞きました。

 家族との会話が増えたというエピソードもありますね。たとえば、ある男性社員は、平日にスーツばかり着用していたけど、カジュアルワークになってから家族と一緒に買い物に行く機会が増えたと言っていました。家族に服装をアドバイスしてもらうため、今までよりも会話が増えたそうです。想定していなかった副次的な効果かなと思いますが、社員が心身共に心地よく、プライベートも仕事も充実してもらえることが目的なので、こういった事例が増えるのは何よりです。

――ありがとうございました


 カジュアル化をあくまで強制しない、最低限のNG例を提示することで、“服装自由が逆にストレスになるおそれ”をも回避しているようです。従業員の職環境を快適化させ効率性アップを目指しているとのことで、今後の業績にも期待。

 ダイドードリンコでは社員に「カフェインナップ」という昼寝を推奨したり、オフィスBGMを活用して定時の退勤をうながしたり、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。

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