ダイドー「デミタス」を飲んだことはありますか? 小容量で濃厚リッチな缶コーヒー。1992年から愛され続けているデミタスは今年で27周年を迎えました。
ダイドードリンコは11月20日、デミタスシリーズの27周年を記念して「デミタスの誕生日パーティー」と称したファンイベントをダイドードリンコ本社にて開催しました。
一般からデミタスシリーズを好きな人を募り、無料で招待。参加者にとって、ダイドードリンコの社員によるデミタスシリーズ開発秘話が直接聞けて、さらにデミタスシリーズへの熱い想いを担当者へ直接ぶつけられる貴重な機会です。
27年続く缶コーヒーブランドの開発背景とは? また、ファンがデミタスシリーズへ抱く想いとは? 密度が濃かった本イベントの様子をお伝えします。
デミタスシリーズ好きが集まったファンイベント
夕方と夜の2部で開催されたダイドードリンコのファンイベント。記者が取材に入ったのは19時から開催された2部の回。遅めの時間帯のため、仕事帰りの男性の比率が高いように見えました。無料で参加できるイベントとはいえ、平日に時間をとって足を運ぶとは並々ではありませんよ。
ウェルカムドリンクとして2種のドリンクが登場。今回の主役である「ダイドーブレンド デミタスコーヒー」と、「ダイドーブレンド グッドワークブレンド オールデイリフレッシュラテ」。
どちらもおいしいのですが、明確な違いが。ペットボトルタイプのグッドワークブレンド オールデイリフレッシュラテと比べると、デミタスシリーズがずっと“濃い”のです。飲み比べることで、デミタスシリーズの特徴がよりはっきりとしました。
司会であるダイドードリンコ コーポレートコミュニケーション部 梅垣さんが「どちらが好きですか?」と尋ねると、参加者はほとんどデミタスコーヒーに挙手。本イベントは原則ひとり参加のため、参加者はみな初対面。それでも、同じものを好きな方が集まっているからでしょうか、自然と打ち解けた雰囲気になっている様子でした。
デミタスシリーズ前身のベータ版があった!?
知られざる開発秘話
最もボリュームがあったコンテンツは、デミタスシリーズ新旧の開発担当者による対談。
1990年代、初代デミタスシリーズの開発を担当した宮本さんは、現在はお客様相談室室長を務めています。現在進行形でダイドーブレンド全体のブランド戦略を担当しているマーケティング部 ブランド戦略グループの土屋さんは、デミタスシリーズ発売当時はまだ入社していなかったとのこと。デミタスシリーズは27年も続くブランドなので、関わった人も多く、歴史が引き継がれています。
デミタスシリーズ前史を知る宮本さん。デミタスシリーズ登場“前夜”は、コアなファンが聞いても「へぇ」となる意外なエピソードがありました。
実はデミタスシリーズにはベータ版といえる商品が存在していました。1992年にデミタスシリーズ初代が販売される前年、「ザ・デミタス」と「カフェ・デミタス」という2つの“デミタス”が限定的に登場。
宮本さん「1990年代当時、缶コーヒーは250g缶が主流でしたが、他社と差別化できる缶コーヒーを出したいという意図で小容量サイズのデミタスシリーズの開発をスタートしました。1991年に2つの“デミタス”をテスト販売。カフェ・デミタスは浅煎りで香りが良いコーヒーでした。私が担当したのはザ・デミタス。こちらは深煎りにこだわり、濃厚でパンチがある味わい。当時、浅煎りコーヒーが主流だったなか、深入りのザ・デミタスが評価を得て、本格的に新商品を立ち上げようと。それが、今のデミタスシリーズにつながっているわけです」
異なる方向性のデミタスがあった中、宮本さんが担当した濃い味わいのデミタスが勝利したとのこと。ですが、前途洋洋のスタートかと思いきや苦労は多かったようです。
「まったく新しいシリーズだったので、最初から好調というわけではなかったです。当時缶コーヒーは100円。デミタスシリーズは小容量なのに価格は同じということで、営業部門から“売れるの?”と懐疑的な声があったり」(宮本さん)
「また、当社は自動販売機の販路がメイン。デミタスシリーズは自販機のラック(※商品を入れる内部の棚)に対して小さすぎる、というのがネックでした。今こそラックの幅が調整できるようになっていますが、当時は缶のほうに幅を調整するパーツをつけるなど、工夫してなんとか売っていたのが思い出です。いろいろな困難がありましたが、おかげさまで売り上げは徐々に伸び、27年続くシリーズに成長しました」(宮本さん)
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