週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

IntelのHEDT向けCPU半額戦略

Core i9-10980XEの国内価格が判明、11/29発売で13万8000円前後

2019年11月25日 17時01分更新

 IntelのHEDT向けCPU「Core X」シリーズの新モデル(開発コードネーム:Cascade Lake-X)の国内販売価格と、一部モデルについての発売日が判明した。現在、Cascade Lake-X世代のCore XシリーズはCore i9-10980XE Extreme Edition(以下、Core i9-10980XE)、Core i9-10940X、Core i9-10920X、Core i9-10900Xの4モデルをラインアップする。

 今回わかった国内予価は、Core i9-10980XEが13万8000円前後(税込)、Core i9-10940Xが10万8000円前後(税込)、Core i9-10920Xが9万9000円前後(税込)、Core i9-10900Xが8万6600円前後(税込)となる。

新旧Core Xシリーズの価格比較
型番国内初出価格(税込)コアあたりの単価
Core i9-10980XE(18C/36T)13万8000円約7667円
Core i9-9980XE(18C/36T)25万1980円約1万3999円
Core i9-10940X(14C/28T)10万8000円約7714円
Core i9-9940X(14C/28T)17万5980円約1万2570円
Core i9-10920X(12C/24T)9万9000円約8250円
Core i9-9920X(12C/24T)15万480円約1万2540円
Core i9-10900X(10C/20T)8万6000円約8600円
Core i9-9900X(10C/20T)12万5906円約1万2591円

 前世代となるSkylake-X Refreshの最上位だった「Core i9-9980XE」の初出価格が25万1980円だったことと、消費税が10%にアップしていることを考えると、「前世代の半額」は本当だったと言える。

 興味深いのは、前世代のコア単価は下のモデルほど安い傾向にあったのが、Cascade Lake-X世代では最上位が最も安い点。ちなみに、前世代も10月中旬から半額以下に値下がりし、すでに市場在庫はかなり少ない状態だ。

 発売日時は11/26(金)の16時からで、Core i9-10980XEとCore i9-10900Xのみの販売となる見込み。なお、初回在庫はごく少数となっており、順次店頭販売を開始する予定だ。また、ほかのモデルも順次展開予定となる。

Core 2 Quad価格改定時と異なる「半額化」

 ハイエンドクラスのCPUを半額で販売する戦略となると、思い出されるのは2007年の「Core 2 Quad Q6600」だ。当時、まだ4コアCPUがハイエンド向けとされており、メインストリーム市場では2コアが一般的だった。それが同CPUの価格改定で、一気に普及。その勢いのまま、Intelは現在でも続くCoreプロセッサーシリーズを展開。そこから10年間もの間、デスクトップPC向け市場で圧倒的シェアを獲得するに至った。

 当時もAMDと壮絶なマルチコア化戦争の真っ最中だったが、思い返してみれば決め手はこの「半額化」だったように思う。しかし、現在と当時では事情が異なる。プロセスの微細化で出遅れたIntelの今回の半額化は、まだ市場の趨勢が決まる前の「攻めの一手」ではなく、劣勢を予測した上での「守りの一手」のように見えるのだ。

 実際のところ、クリエイティブ系のPCではIntel人気は依然として高い。ソフトウェアの最適化などのエコシステムを含めた、同社が築いてきた10年間のアドバンテージはたやすく崩れ去るものではない。ノートPC向けCPUではいまだ圧倒的シェアがある。しかしながら、2017年にRyzenが登場するまでのIntelはライバル不在で、目の覚めるようなデスクトップPC向けCPUを毎年出していたかと問われれば、答えは否だ。

 舞台裏の真実はわからないにせよ、市場からは今回の「半額化」をライバルの復活に慌てて準備したIntel、と見えても不思議ではない。今後、デスクトップPC向け市場のシェア争いはさらに激化するだろう。コア単価はさらに安くなるはずだ。なんにしても競争なき市場は停滞するので、いちユーザーとしても、PC系メディアの人間としても、熾烈な争いは歓迎したい限りである。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります