週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

開発に5年! 技術に対する徹底的な姿勢を感じた発表会

世界初、本物のベリリウム振動板を採用したfinal A8000

2019年11月23日 15時00分更新

 finalブランドを展開するS'NEXTは23日、新フラッグシップイヤホン「A8000」を発表した。樹脂にベリリウムを蒸着する一般的な方法ではなく、本物のベリリウムをプレス加工した振動板を採用。これを重厚感のある、ステンレス製の筐体に収めた。非常に高級感のある製品に仕上がっている。

ステンレス製の筐体。EシリーズやMAKEシリーズよりは若干大きく、重厚な印象だ。

驚きのベリリウム振動板だが、それは「あくまでも結果」

S'NEXTの細尾満代表取締役社長

 ベリリウムは比重の軽さ(薄さと硬さを両立できる)に加えて、音の伝搬速度が速く、内部損失が高い(鳴きが少ない)点が特徴。つまり、振動板としては理想的な金属だ。ただし、加工が難しく、歩留まりも高くないため、これまでヘッドホンやイヤホンに用いられることはほとんどなかった。これが実現できたのは、finalが過去に手掛けた受託開発の研究過程で、素材業者とともに培った熱間プレス加工技術が生かせたためだという。

 ただし、「ベリリウムの採用はあくまでも結果に過ぎない」と、S'NEXTの細尾満代表取締役社長は話す。前提には、A8000の開発に当たって重視した“トランスペアランス”の実現があり、その結果、ベリリウム振動板の採用に行きついたということだ。

本物のベリリウム振動板だ!

 “トランスペアランス”は日本語に訳すと“透明”だが、これはオーディオ機器の紹介でよく用いられる“クリアネス”とは少し違った概念として使っているという。単に音の見通しの良さや、分離の良さといったことを示すのではない。様々な騒音がある環境でも、この楽器はバイオリンの音、拡声器を通さずに生音が鳴っていると分かるように、立ち上がりが速く、近くても遠くて実在感があり、空間の中に浮かぶような音の再現にこだわっている。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります