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4K・HDRで蘇った『ウルトラQ』の映像は刮目の出来栄え

2019年11月20日 15時00分更新

見どころと、変化のポイント

『ウルトラQ』メインタイトル

有名なメインタイトル

 2K・SDRと4K・HDRでは圧倒的に違う。2K・SDRはダイナミックレンジが狭い。黒の階調も不十分で、タイトルバックの年輪のような模様が、曖昧だ。『ウルトラQ』の文字の白レベルが低く、ざらつきのようなノイズが全面に見える。4K・HDRは暗部から明部までのレンジが広大で、階調の出方も細やかだ。背景の暗めの年輪模様も明瞭で鮮やか。『ウルトラQ』文字は白が伸びる。というより、まるで宝石を散りばめたようなキラキラとした輝き。

ビーズのようにキラキラとした質感はHDRならではの表現だ。

第1話「ゴメスを倒せ!」(1966年1月2日)より
「古代怪獣ゴメス、原始怪鳥リトラ」

古代怪獣ゴメスの質感や生物らしさに注目。

 2K・SDRでは、古代怪獣ゴメスの肌がのっぺりとしている。4K・HDRで観ると、本当はここまでケバ立ち、細かな凹凸があったのかと、驚く。牙の反射光も鋭く、生物らしい怖さも感じる。その立体感も際立つ。

目や頭部の細かな凹凸が描かれ、光線は輝度が高く明瞭だ。

 原始怪鳥リトラは鱗の一枚一枚が明瞭で、反射と影の部分、そして目の白部と黒部の対比が、鮮やか。頭部の細かな凸凹も4K・HDRは2K・SDRに比べて、ものすごくはっきり見える。リトラから発する光線の輝度が高く、コントラストもしっかりとし階調も明瞭に見える。

第2話「五郎とゴロー」(1966年1月9日)より
「街で暴れる巨大猿ゴロー」

 街の地面は4K・HDRが遙かにコントラストが明確。明部、暗部の情報感も明瞭だ。建物の造形も、4K・HDRはしっかりとしていて、建設会社の白い建物や中央に見える銀行の暗めのどっしりとした質感がきちんと再現されている。円形の建物も4K・HDRはディテールがしっかりと。暗色の建物もアップで観ると、4K・HDRでは表面仕上げの丁寧さ、光反射の生々しさなどがわかる。

街で暴れる巨大猿ゴロー

 グレインノイズの出方が2K・SDRと4K・HDRはだいぶ違うのが興味深い。2K・SDRはグレインノイズがかなり多い。建設会社の白い建物の表面はかなり大粒のノイズに覆われているが、4K・HDRはその半分程度に落としている。ここが大事で、完全に削除してのっぺりとさせるのではなく、これはビデオ作品ではなく、フィルム作品であるということをグレインノイズにメッセージとして託している。

 巨大猿ゴローの表面の毛羽立ち感やモケモケした感じを4K・HDRは、細部まで明瞭に再現している。特筆すべきは HDR 効果。ゴローの背景となる空の雲の階調感や立体感がリアルだ。

第3話「宇宙からの贈りもの」(1966年1月16日放送)より
「火星怪獣ナメゴン」

 2K・SDRは岩肌が曖昧。火星怪獣ナメゴンの肌も光反射が少ない。4K・HDRでは岩肌の凹凸のディテールがこれほど細かいのかと感嘆。解像度が上がったのと、細部までコントラストがきちんと付与された効果だ。ナメゴンの肌のヌメッとした粘った質感と対照的に、光の反射感が鋭い。反射部分の形も2K・SDRは輪郭が肌に溶けるが、4K・HDRは地肌と明瞭に区別される。点々の模様も、2K・SDRより遙かにはっきりと分かる。

ナメゴンのヌメっとした質感が非常に生々しい。

目の部分の解像感も一皮むけた印象だ。

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