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eスポーツディレクター、ゲームデザイナー、日本・アジア地域取締役社長にインタビュー

R6Sのゲームやeスポーツの今後を“キーマン”3人に訊く

2019年11月14日 19時30分更新

戦略やクリエイティビティ―が広がるオペレーターを開発

Emilien Lomet氏

 2人目は、R6Sのゲーム内容のキーマンであるゲームデザイナーのEmilien Lomet氏。R6Sチームに配属になり5年目を迎え、3年目から現在にかけてゲームデザイナーとして開発に携わっている人物だ。新しいオペレーターのデザインやゲームバランス、マッチメイキング、アンチ・チートなど多岐にわたって担当している。ちなみにアッシュとイェーガーがイチオシのとこと。今回は、R6Sの開発におけるこだわりや、発表されたばかりの新オペレーターについて聞いてきた。

ーー今回発表されたKaliとWAMAIですが、既存のサッチャーやイェーガーと同じような機能のガジェットを持っています。これは、意図してのことでしょうか。

Emilien Lomet氏(以下、Emilien Lomet):そうですね。サッチャーやイェーガーは使える場所などが限られてきていて、戦略的にはシンプルになってしまっています。KaliとWAMAIは(サッチャー、イェーガーと)それぞれ似たような結果を生み出しますが、そこまでの戦略や過程は違ってくると思います。戦略の幅が広がることで、プレーヤーのクリエイティビティ―を刺激して、よりゲームが面白くなればと考えています。

Kaliのガジェットはアンダーバレルの「LV Explosive Lance」で、強化壁の裏にあるガジェットなども破壊できる

WAMAIのガジェット「Mag-NET システム」は攻撃側のグレネードや弾薬型のガジェットをほとんど無効にし、逆に爆発させることで相手のプランを乱すことが可能

ーーちなみにKaliが発表される直前にグラズの発射レートが上がりましたが、これはKaliの登場と何か関係しているのでしょうか。

Emilien Lomet:Kaliはグラズの発射レートを上げるという決定の前には全体像やデザインが出来上がっていたオペレーターなので、グラズの調整とは関係はありません。グラズはDMRを使うオペレーターで、どちらかというとトゥイッチなどと同じカテゴリーだと我々は考えています。

ーーちなみにオペレーターをデザインするにあたって、一番心がけていることは何ですか?

Emilien Lomet:大切にしていることは2つあります。1つは、R6Sの中に新しいゲーム体験をもたらせるオペレーターをデザインすることです。もう1つは、ゲームにとって必要であるオペレーターで、プレーヤーのニーズにこたえられるオペレーターにすることです。

ーーR6SはマップもほかのFPSと違い壁が破壊できたり、上下階での攻防が発生したりします。マップをデザインするうえで重要にされていることは何ですか?

Emilien Lomet:マップは直接手掛けているわけではないので詳しくは説明できませんが、サイズや目的地にたどり着くまでのバリエーション、抜けられる壁やそうでない壁のバランスなどを考えてデザインしています。

ーーR6Sは、いまだに人気が衰えず何なら競技人口が増えていっている気がします。ここまで競技人口が減らないFPSも珍しいと思うのですが、なぜだと思いますか?

Emilien Lomet:あくまで憶測ですが、理由は3つあると思っています。1つは、口コミです。R6Sを発売するとき、我々会社の人間もここまで大きなコミュニティーになるとは思っていませんでした。それが口コミにより、雪だるま式に広がっていったんです。

 2つ目は世界で遊ばれているということです。アメリカやヨーロッパだけでなく、ブラジルといった国でも多くの人が遊んでくれています。実は、ブラジルは発売当初はそうでもなかったんですが、ブラジルのオペレーターが追加されて人気に火が付いたんです。日本でも、あまり海外のゲームが強いイメージはあまりないのですが、R6Sは口コミで広がっていきました。

 3つ目は、既存プレーヤーが減らない点です。人気のビッグタイトルは最初に大勢が買って、だんだんプレーしなくなる傾向が多いと思いますが、R6Sはほかのタイトルに比べて100時間以上プレーしてくれている人の割合が尋常じゃなく高いんです。そういったファンの人たちが、口コミで広げてくれるのでどんどんプレーヤー数は増えていってるんだと思います。

ーーありがとうございました。

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