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「Riiiver Innovation Project」レポート

北海道ならではの課題を時計で解決! シチズン初のハッカソン

SXSWでの偶然の出会いから北海道のハッカソン開催へ

 Riiiverを使ったアイデアソン、ハッカソンは、今回の札幌が初の試み。NoMapsでの開催を決めた理由、得られた成果について、シチズン時計 営業統括本部 オープンイノベーション推進室 室長の大石 正樹氏に伺った。

シチズン時計株式会社 営業統括本部 オープンイノベーション推進室 室長 大石正樹氏

 3月に米国オースティンで開催された世界最大級のイベントであるSXSW(サウスバイ・サウスウェスト) 2019に時計メーカーとして初めて出展し、Riiiverのプラットフォームと、それに対応したこれまでにないスマートウォッチ「Eco-Drive Riiiver」を発表。そのトレードショー会場内でNoMapsの関係者と出会ったことが、アイデアソン、ハッカソンの開催につながったという。

 「Riiiverはモノ(プロダクト)じゃなく、コト(体験)。コトの発表の場は、世の中にはそう多くない。コトを発表するには、SXSWが最適だと考えました。我々としては大きなチャレンジでしたが、北米だけでなく、欧州からの来場者にもこのコンセプトにすごく賛同していただけた。そこから一気にいい風が吹いたと思います」(大石氏)

 SXSWの出展が追い風となり、社内でもプロジェクトに応援してくれる人が増えたそうだ。デベロッパーにも面白い機能を作ってもらうため、一般販売に先駆けて、6月に「Eco-Drive Riiiver」をクラウドファンディングに出品。約2ヵ月で1億600万円の支援額を達成している。

 開発者サイドだけでなく、一般ユーザーがほしい機能に落とし込むために開催されたのが今回のNoMapsへ向けたアイデアソン、ハッカソンのイベントだった。

 「我々時計メーカーは、いかにデジタルでメリットを出すか、という発想に陥りがちですが、情報量で勝負しようとすると、アナログの時計でできることには限界があります。アナログの魅力は、直感的にわかること。そこに落とし込むには、作り手が考えるよりも、使い手であるユーザーさんの声を聞いて一緒にほしい機能をつくっていくほうが合っている。(ハードウェアとしては)針を3つ開放しているだけですが、アイデアソン、ハッカソンでは時計メーカーには絶対に思いつかないアイデアがたくさん出てきました」

 スマートフォンと同様にすべての情報連携を目指して設計されている既存のスマートウォッチとは違い、Eco-Drive Riiiverの本質はあくまで時計。アナログ時計のままに、ユーザーの好きな機能を入れられるのがRiiiverの面白さだ。

 「これができるのは、時計メーカーだからこそ。これからも針のある時計で、わくわくすることをやっていきたい」と大石氏は語ってくれた。

 新しいプラットフォームを育てるには時間がかかるが、同社には新しいサービスをモノへと落とし込める「時計」という武器がある。今後はほかのデバイスメーカーとも連携して、Riiiver対応ツールをより拡充していくという。

 Riiiverを通じて、プログラミングにまったく興味がなかった人でも、気が付いたらプログラミングに夢中になっていくような仕掛けも企画しているとのこと。アイデアソン、ハッカソンは、今後もほかの地方や海外で開催していく予定だ。興味を持った人は、ぜひ自分のアイデアをぶつけてほしい。

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