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人手不足の日本で生き生きと働いている、はま寿司のペッパー店員

2019年10月24日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

スマホ化が進めばペッパーも必要なくなる!?

 ところ変わって、バークレーの隣町、オークランドで最も注目されているエリアであるテメスカルに、Marufuku Ramenというとんこつラーメンのお店があります。8年バークレーに住んでいて、唯一通ったラーメン屋さんでした。

 通った理由を振り返ってみると、1杯12ドルと(現地では)良心的な価格と、納得できるレベルの味、そして豊富な美味しいサイドメニューの充実もさることながら、行列に巻き込まれる心配があまりないことでした。

 日本人でも味が良いと評価できるラーメン店は貴重で、Marufuku Ramenも大繁盛店です。しかしこのお店は、レストランから病院まで、街のあらゆるレビューが掲載されているサービス「Yelp」の行列機能を採用していたからです。

 Yelpはレストランを探したり、そのお店の人気メニューとその評価を見るのに便利です。Yelpアプリの写真を見せて、これください、と頼むのは筆者だけではありません。初めてエチオピア料理店にいって料理名だけ見ても、何が出てくるかわかりませんし……。

 そのYelpでお店を見つけた時、この行列機能を採用している場合は待ち時間の概算が表示され、さらにお店に行って名前を書く前に、スマートフォンアプリから行列に並び始めることができるのです。

 Marufuku Ramenは住んでいたバークレーから車で15分ほどの距離にありましたので、行こうと決めて予約して、呼ばれる20分くらい前に家を出れば、ほとんど待たずにお店に入れる算段です。

 店頭にはタブレットが置いてあってここから行列に加わることもできますが、みんなYelpで店を調べてくるので、その時に行列に加わり、タブレットは店員が次の人を確認して呼ぶときぐらいしか使われません。

 つまり、スマートフォンアプリでの行列が浸透していれば、店頭のタブレットもペッパーもなしに、アプリ上で行列を形成して案内することができるようになるはずです。

 もしはま寿司がペッパー店員の定年退職を言い渡すとしたら、おそらくウェブサービスやアプリでの順番待ちに完全に移行する時かもしれません。そして米国と違って、テクノロジー非対応の人に優しい日本においては、その日は当面来ないのではないか、と思いました。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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