キャッシュレスと税のわかりにくさは関係ない
米国だって、現金はまだまだ流通するし、小切手という電子化される前のキャッシュレスな仕組みで、八百屋での支払いをしているご老人を見かけることもあります。
日本のキャッシュレスが大きく立ち遅れているという議論がある一方で、じゃあ筆者が住んでた米国が最も効率的かと言われると、手段ばかり増えて色々試されているような状況が続いているともいえます。
日本でもバーコード決済でサービス間の相互利用ができない、という状況が起きていますが、米国の小売店の店頭でも同じです。Google Payは使えるけどApple Payはダメ、クレジットカードの機械がICチップ読み込みに対応していなくて、ICチップでの支払いのみ可能でセキュリティを高めているカードが使えないなど、なかなか一筋縄ではいきません。
また日本ローカルの問題ですが、VISAカードがApple Payをサポートせず、iDかQUICPay経由であれば店頭での決済に対応したとしても、オンラインでは使えないという事態が起きています。
そのことを見越して、個人的にクレジットカードの国際ブランドはJCBかマスターカードを選ぶようにしています。AMEXはApple Payにきちんと対応しますが、意外と米国の中小の小売店で使えないのです……。利便性の低いものをわざわざ選ぶ義理はありません。
ビジネスなので利益や覇権を取っていくことを目指すのは必要かもしれませんし、力で押し切れば、それが利便性になるはずです。しかし過渡期ゆえか、ユーザーの利便性は後回しにされているのが現状です。
個人的には、キャッシュレス化には賛成だし、増税も致し方ないという立場です。しかしユーザビリティがほんのわずかも考えられていない場面を見つけてしまうと、やはりそこには異を唱えるしかありません。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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