第233回
スキャンダルなど紆余曲折の“Androidの父”は、Essential Phone 2をどんな形で世に送り出すか
”Androidの父”こと、アンディ・ルービン(Andy Rubin)氏が立ち上げたEssential、一時期身売りの噂もあったようだが、次期製品が出るかもしれない。初代かつ現時点で唯一のスマートフォン「Essential PH-1」は必ずしも成功とは言えなかったが、2機種目はこれまでとは違うAIを駆使したものになるのでは? という説が出ている。
初代の販売台数は15万台?
大きな成功を収められなかったEssential Phone
Essential Productsは2015年創業のハードウェア企業。新興スマートフォンメーカーは数あれど、Essentialを目立たせていたのは、創業者の一人にルービン氏が名を連ねていることだ。ルービン氏はご存知のように、Android社の起業後に買収を受けて、グーグルに入社し、スマートフォンOSとしてのAndroidの開発と成功の立役者となった。
そのルービン氏がグーグル退社後に立ち上げたのが、ハードウェアを中心としたベンチャー投資のPlayground Global。Essential ProductsはPlayground Globalの一社として立ち上げた形だ。
「Essential PH-1」が登場したのは、2017年秋のこと(日本からも2018年春に購入可能に)。予定より遅れての登場となったが、ルービン氏の細部やクオリティーへのこだわりを表現したものとなった。たとえば、チタンとセラミックといった素材、全画面ディスプレー、磁気コネクターによる拡張、同時に発表した付属品の360度カメラなどだ。また、OSのアップデートがきちんと行なわれる点などもさすがと言えよう(Android 10もすでに提供されている)。
しかし業績はかんばしくなかった。当初699ドルだったものの、その後値下げ。2018年にBloombergが身売りか? と報じた時は、販売台数は15万台と見積もられていた。なお、今年のMWCにEssentialはブースを構えていなかった。
音声入力が中心のAIフォンが目指すものは……
そして今回の”Essential 2”、”Essential PH-2”の情報だ。身売り話とともにキャンセルになったと言われた後、2018年12月にEssential側がメディアに対して、開発中であることを認めた。現時点では、2019年6月にルービン氏自身が「アナウンスする。注目してほしい」とツイートしたのが最後だ。
Thanks. We'll make an announcement. Hang tight.
— Andy Rubin (@Arubin) June 11, 2019
そもそもの発端はやはりBloombergの記事で、2018年10月に「AI Phoneを開発発中」と報じた(https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-10-10/android-creator-is-said-to-build-ai-phone-that-texts-for-you)。それによると、PH-2は「標準的なスマートフォンとは異なる」ものとなるとのこと。音声入力が主な入力方法になるため画面は小さく、メッセージへの返信などはユーザーの行動から学び自動化するという。スマートフォン市場は成熟しており、これまでと同じようなスマートフォンでは差別化は図れない。それを考えると、「当時開発していた2機種目は、市場にあるスマートフォンに似ていたので打ち切った」という判断は正しいと言える。
そのBloombergの記事によると、ルービン氏は1年前のインタビューで「スマートフォンが自分のバーチャルバージョンになることができれば、いちいちスマートフォンを取り出して操作することなく、ディナーを楽しむなど生活を楽しむことができる」「中毒的な使用の問題の一部を私が解決できるだろう」といったことを語っていたという。
このほか、画面からカメラセンサーが見える半透明の画面か? Snapdragon 855か? 730か? といった憶測もある。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります