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Xperiaシリーズを新たに生まれ変わらせた「Xperia 1」

2019年10月21日 10時00分更新

 日本でAndroidスマホといったらXperia! というくらい、スマートフォンのブランドとして認知されている「Xperia」。常に最新の技術とスマホのトレンドを取り入れて業界の最先端を走るXperiaシリーズですが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。これからのXperia、ひいてはスマートフォンの来し方行く末を、ソニー大好きライターの君国氏に写真とともに紐解いてもらう連載です(基本的に登場するのは国内で発売されたモデルのみです)。

21:9のディスプレーに3眼カメラ
「Xperia 1」

 約1年半続いた当連載もついに今回で一区切り。最後を飾るのは最新フラッグシップです。2019年6月、ドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアから「Xperia 1」が発売されました。約1年前に登場した「Xperia XZ2シリーズ」や「Xperia XZ3」と大きく異なるコンセプトは、新たなスタートをこめてXperia 1という非常にシンプルなネーミングになりました。

 ボディーはストレートなスクウェアデザインとなり、画面サイズは6.5型(1644×3840ドット)で、アスペクト比は21:9という非常にタテ長のディスプレーを採用しています。本体サイズは、約72×167×8.2㎜、重さは約178gと、横幅が狭いので握りやすく、そんなに重くないのでごろ寝しながら映画を観ていても疲れません。

 スペックはSoCにハイエンド向けのSnapdragon 855を搭載し、メモリー6GB、 内蔵ストレージは64GBという構成。カラバリには定番のブラックをはじめ、グレーやホワイト、そしてXperiaの代名詞にもなっていたパープルが復活し大きな話題になりました。

 21:9というアスペクト比でタテ解像度が高くなった恩恵を生かして、横持ちにしたときのシネスコサイズ(2.35:1)とほぼ同じ世界観を味わえたり、画面を分割して同時に2つのアプリを利用できる「21:9 マルチウィンドウ」が利用できるようになりました。従来モデルに搭載されていた、左右の端をダブルタップすると使える「サイドセンス」も継続して採用されています。

 Xperia XZ2/XZ3では背面にあった指紋認証センサーの位置は、以前の本体サイド面に回帰。ただ、これまでの指紋認証センサーと違い、電源ボタンと指紋認証センサーが別々になってしまいました。これは地味に不便です。

映画もゲームも! エンタメ機能が盛りだくさん

 もっともチカラを入れているのがエンタメ機能です。4K HDR対応の有機ELディスプレーは、自発光ならではの高コントラストや暗いシーンの階調表現、広い色域の表現力の併せ持っています。HDR(ハイダイナミックレンジ)に加えて、BRAVIAの高画質化技術「X1 for mobile」を搭載。低画質な動画でも4K画質相当へ変換する「4Kアップスケーリング」や、標準規格(SDR)の映像をHDR相当に変換する「HDRリマスター」により、たとえばYouTubeで観るコンテンツもより高画質に楽しめるのです。

 画質設定は一般的な色鮮やかさにしてくれる「スタンダードモード」と、4K有機ELディスプレーとHDR規格、BT.2020の色域、10bit信号に対応するという、映像製作者の意図を忠実に再現する画作りを楽しめる「クリエイターモード」との切り替えができます。

 さらに、21:9に対応したゲームであれば画面いっぱいにゲーム画面を表示し、他のスマホとは比べものにならない情報量で楽しめます。16:9の画面では見えなかった部分まで見渡せるので、操作するときに指で見えにくくなるポイントを避けられたり、他のスマホなら見えないところにいる敵が先に見つけられるといった、ゲームプレーに直結する恩恵があるのです。

 新機能として「ゲームエンハンサー」を使うと、ゲーム用カスタマイズが可能に。バッテリーの消耗を抑えるためにパフォーマンスを落としたり、メモリーを解放・通知を非表示、ナビゲーションバーをロック、サイドセンスを無効、明るさの自動調整を無効といった、ゲームへの没入感や集中力を削ぐ動作を抑制してくれます。また、サブ画面でYouTubeや攻略サイトをチェックといった使い方もできます。スクリーンショットをカンタンに撮れるほか、フロントカメラで自分の姿を映して実況しながらゲームプレーを録画する「スクリーンレコーディング」までできたりと、ゲーム配信や実況をしている人にはうれしい機能が詰まっています。

 オーディオ面では、立体音響技術「Dolby Atmos」に対応したことで、本体のスピーカーだけでなくヘッドホンでも自分のまわりに音が感じられる臨場感を得られます。コンテンツに合わせて本体が振動する「ダイナミックバイブレーションシステム」もあわせて、まさに目と耳と指先と伝わる迫力は今までのスマホでは体感できなかったもの。ちなみに、イヤホンジャックはありません。

待ち望んだ3眼カメラがついに搭載!

 そしてついにXperia初のトリプルカメラを搭載。中央からタテに3つ、レンズが配置されています。それぞれ約1220万画素のイメージセンサーを備えて、上から焦点距離26mm/F1.6の標準レンズ、52mm/F2.4の望遠レンズ、16mm/F2.4の超広角レンズという構成です。

 ソニーのデジタル一眼カメラ「αシリーズ」に搭載されている「瞳AF」をスマートフォンとして初搭載しているのもトピックです。動き回る被写体の瞳を追いかけてフォーカスをあわせ続けるため、シャッタータイミングがとりやすく、狙ったところで撮影できます。AF追随とAE(自動露出)追従しながら10コマ/秒の高速連写も可能です。

 動画撮影機能としては、4K HDR撮影や、フルHDのスーパースローモーション(960fps)撮影などクオリティーの高い動画を残せます。光学式と電子式の手ブレ補正をかけあわせた「ハイブリッド手ブレ補正」により手ブレを抑えた撮影も可能です。また、21:9のディスプレーを活かした撮影方法のひとつとしてソニー独自のシネマ撮影用機能「Cinema Pro」アプリを搭載。「Cinema Alta」というソニーの映画撮影用プロフェッショナルカメラ開発チームが絵作り、操作画面を監修し、映画のような画作り・質感・色表現で撮影できます。

生まれ変わったXperiaがコレだ!

 そのほか、防水防塵機能は健在で、防水(IPX5/8)、防塵(IP6X)を搭載。また、スタイリッシュなボディーの薄さと軽さとのトレードオフになったのか、Xperia 1ではQi(チー)方式のワイヤレス充電が見送られました。

 今年2月のMWC19で発表され、世界中から期待が集まったXperia 1。暗いトンネルを抜けたかのように、Xperiaシリーズは生まれ変わりました。トリプルカメラは自社カメラの優位性を取り込み、映画会社や放送・業務用モニターといった自社の強みを積極的に取り入れてきた「21:9 シネマワイドディスプレー」によるスマホ体験や、マルチウインドウを活かした使い方、ゲームプレーやゲーム実況を楽しめるといった、明確な「楽しさ」を提案し、まさに待ち望んだXperiaが帰ってきたのです。

 すでに発表されているXperia 5や、まだ見ぬXperiaが今後も出てくるかと思います。それはまた次の機会に振り返りたいと思います。次回からは連載番外編としてしばらく海外モデルシリーズを展開しますので、お楽しみに。

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