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プロが求めた光の質:

「宇宙兄弟」小山宙哉先生がバルミューダ「BALMUDA The Light」を使うワケ

2019年10月25日 11時00分更新

文● 盛田 諒
提供: バルミューダ

●アナログもデジタルも「プロの道具」

── BALMUDA The Lightで描かれているというカラー原稿もそういった変化がありましたか。

 昔は着彩に慣れてないのもあって塗り重ねが多かったですね。最近は色を決めて少ない手数でやろうとしているのですっきりして見えるかなと。

── 手数を減らしていく。

 手数を減らすというのは、プロの手の動きを目指すというところなんですよね。手数が少ないと早く描ける。早く描けるのにしっかりした絵に見えるし、十分な躍動感もある。ヘタなときはめざす線とか、色が一発で出ないので、目指している先生たちの描いている姿を見ると「この手数でこんなにサクサクいくんだ!」と。それを目標にしている感じですね。

── 最近は作業環境をデジタルに切り替えているということでしたが、カラー原稿はアナログにこだわられていますね。

 デジタルはラクですよね。修正とかが特に。今後、場合によってはデジタルでやっちゃうときが来るかもしれないですけど、一発勝負な感じとか、筆を使って魂こめるみたいなことは難しい。デジタルで魂をこめられないかというとそんなことはないと思うんですが、一発勝負感とかアナログならではの技術は持ち続けていたい。なので表紙くらいはそういう方法でやりたいと思ってます。最新刊(36巻)の表紙もBALMUDA The Lightを使って描いたんですが、今回の表紙は日々人に動きをつけようと、自分で体を動かしてポーズを決めたりして、気持ちを込めて描けたと思います。

「宇宙兄弟」最新36巻。表紙は今もアナログで描いている

── 失敗できないという緊張感が必要なんでしょうか。

 緊張感もあるし、失敗も味で許す、ってところですかね。デジタルの便利さ、アナログの生っぽさという葛藤はあるんで、悩ましいところですけど。

── もともとアナログなモノが好きだとも聞いています。

 そう、文房具が好きでね。シャープペンとかも好きで。ネット通販とかで写真を見れば書き心地も想像できるくらい。「大体これくらいの重さやな」とか。新作が出たら試したくなるというのもありますね。好きなんで。デジタルが増えてくるとそういうものを使う機会が減るんで、さみしいところもありますね。

── アナログな道具を使う貴重な機会でもあると。

 ただデジタルだからこそできる絵というのはあると思うし、そこを追求するのもひとつ道としてあるかなあと思いますけどね。

── デジタルならではの道というと。

 いまデジタルのときはiPadに純正のペンで描いてるんですけど、画面にはペーパーライクフィルムという紙の質感っぽいざらつきのあるフィルムを貼って描くんですよ。それをやっているとペン先が削られていくんですね、摩擦で。プロの仕事だとずっと描いてるから、2ヵ月くらいでペン先が削れてしまって、下の金属が見えてきたりして。それを見たときに「デジタルだけどこれも道具だな」と思って。 言ってみればシャープペンも道具だし、iPadとかも道具。こういう便利な道具があるからこそ、それでできる最高の絵を描く、というのはやり方としてあると思うんですよね。

── BALMUDA The Lightと絵筆でアナログに描くことも、iPadとスタイラスでデジタルに描くことも、いい道具を使って描く点で根っこは同じだと。

 結局、誰が描くかということで変わってくるんですよね、絵は。デジタルでやっていると、描く側は便利な機能に慣れてしまっていいのかとか、失敗を恐れなくなって一筆一筆の気持ちが緩くならないかとか、いらんことを考えてしまったりするんですけど(笑)。読者にとってはおそらくそこまでの変化は感じないもので、アナログでもデジタルでも、できあがった作品には描き手の個性が出るものだと思ってます。

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(提供:バルミューダ)

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