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AV評論家・麻倉怜士が語るXperia 1の画面の美しさ

ソニー厚木の至宝2つが搭載されたXperia 1

麻倉「ハリウッドの映画スタジオはX300が標準装備ですし、Netflixに代表されるような、いわゆるお金がかかった映像作品の制作にはすべてX300が使われている。そしてもうひとつ、厚木の代表作がありまして、それが「CineAlta」という映画撮影用デジタルビデオカメラのブランドです。これもやはり業界で高評価を受けていて、名画と言われるものはだいたいCineAltaで作られています」

 X300とCineAlta、この2つがソニー厚木の至宝なのだ。この至宝がXperia 1に詰め込まれている。

麻倉「この2つの要素がほとんどそのままXperia 1に入っているわけです。これまでのXperiaの技術を結集したというレベルをはるかに超えた、要するにプロ用最高クラスの映像処理技術が搭載されているのがXperia 1なのです」

 厚木の技術が採用されたXperia 1だが、具体的にどこが優れているのか?

麻倉「ソニーのブラビア(有機ELテレビ)はX300を目標にして、それにいかに近づくかという絵づくりがされています。現代のデジタルシネマ作品はほぼX300で撮られているから、X300で映すものが正しい映像なのです。たとえば、この暗い部分はここまで見えなきゃいけないとか、撮影監督が撮影調整した絵がグレーダーの手を介して、そのまま劇場で流れたり、Blu-rayになっているわけですから。そんなわけで、X300はまさに神様みたいなものなのですが、Xperia 1はまったく同じことをやれるんですね。つまり、X300の横にXperia 1を置いて、X300と同じ絵が出るような調整がされている。もちろん、中身は違いますし有機ELパネルも違うモノですが、方向が酷似しています」

 X300の技術のおかげで、プロが見ている絵とほぼ同一の絵を見られるXperia 1。

麻倉「ソニーには門外不出のリファレンス映像があって、それを見ながら階調感とか色再現性をチェックするんです。X300に限らずさまざまなモニターが絵作りのために使います。これをX300の横にXperia 1を置いてクリエイターモード(X300の絵をシミュレートしたもの)で再生したのですが“あ、ほとんど同じだ”と思わず声が出てしまいましたね。とっても落ちついた絵ですよ。テレビにもダイナミックモードがあって、ピカピカな絵でお客さんを営業的に引っ張ってきます。スマホの場合はさらにダイナミックというか、非常にギラギラ、ベタベタ、ガンガンという感じではあるのですが、Xperia 1のクリエイターモードで見るとちょっと引いた感じでバランスがよく、誇張感のない、ナチュラルな絵が楽しめます」

 プロの絵を持ち歩ける、それがXperia 1だ。

麻倉「そしてもうひとつの厚木の至宝がCinema Proです。これは映画のような動画が撮影できるモードですけど、厚木が誇るデジタルシネマカメラの撮り方をそのまま持ってきたというか、非常にプロっぽい操作系です。私がとても気に入ったのは、VENICE CSというフィルターです。映画撮影カメラ・VENICEのトーンカーブを再現してくれます。フィルムが持つトーンカーブ曲線をシミュレートしたもので、いわゆる放送用ビデオカメラのハイコントラストでハイシャープネスというものとは違った、ちょっとファンタジー系になるというか、映画的なフレーバーをかけるというものが、このCinema Proという撮影アプリで得られます」

 当然、業務用機と完全に同じというわけにはいかないが、スマホの中では圧倒的にプロっぽい絵が撮影できるのだ。ただし、撮影にはある程度の知識と、三脚やジンバルなどが必須になる。

麻倉「絵作りのほかにはアスペクト比が新しい。21:9は今一番多いシネスコサイズです。16:9で見るとどうしても上下に黒帯が出ますが、21:9だと正確な寸法の絵が出ます。この縦横比に対する考え方も、すごくシネマライクだなと。これだけ映像のプロフェッショナル的な味わい、機能性、映像の方向性を打ち出したという意味では、ほかのメーカーには絶対できないことです。ソニーの高い技術力をモバイルに入れて、差別化してソニー的なものを作っていく。非常にプロっぽい仕組みを入れることによって、どこもマネできないものができたというのが、大きく感動しているところなんでね」

MWC19で登壇したソニーモバイルコミュニケーションズ代表取締役社長 岸田光哉氏

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