アップルが最新のスマートウォッチ「Apple Watch Series 5」を発売した。スマートウォッチの普及がじわじわと進んでいるが、アップルが狙うのは単に端末の売り上げではない。研究機関と組み、リサーチ目的でのユーザーデータでの協力も進んでおり、これまでにない動きが考えられる。
最新のApple Watchは健康関連の機能がさらに充実
初代Apple Watchが2015年春に登場以来、9月のiPhone発表会でApple Watchも登場することが恒例になっている。アップルは今年も「Apple Watch Series 5」を発表した。これまでどおりに、GPSとセルラー/GPSのみ、の2種類だ。
特徴はSeries 3比で、最大2倍高速という64ビットデュアルコアのS5プロセッサと常時表示ディスプレイ。文字盤が常に見えているというアナログの時計から考えると当たり前のことが可能になった。バッテリー駆動は最大18時間と変わらず。
機能としては、Apple Musicなどの音楽、Apple Pay、Siri、コンパスといった機能に加え、アクティビティリング、最新の光学式心拍センサーによる心拍数についてのアラート、騒音(ノイズ)についてのアラート、トレーニングの測定など健康に関するものが中心だ。1年前のSeries 4で導入した心電図モニターも健在だ。
法人健康市場を狙うFitbit
スマートウォッチという点では、Apple Watchはダントツのシェアを持つ。Strategy Analyticsの調査では、Appleは46.4%のシェアをもち、2位のSamsungの15.9%に大きな差をつけている(2019年第2四半期)。
だが、腕に装着するウェラブル市場となるとシャオミが強い。IDCの2019年第2四半期の調査によると、「Mi Band」のXiaomiは17.3%のシェア、Apple Watchは2位の14.8%となっている(3位以降は、ファーウェイ、Fitbit、サムスンの順)。シャオミが低価格でシンプルなリストバンドで攻めるのに対し、Apple WatchのASP(平均販売価格)は448ドルと抜きん出ている。ファーウェイもスマートウォッチの「HUAWEI Watch」というより、シャオミのMi Band対抗とも言える「Honor band」がシェアに貢献しているようだ。
これらベンダーは単にデバイスそのものを売るのではなく、サービスとの結びつけを狙う。願わくば、ユーザーが端末を通じて得られるサービスにより使い続ける仕組みを作りたいところだ。少なくともアップルとFitbitは明確にその方向を見せている。
8月、シンガポール政府が展開するヘルスプログラム「Live Healtht SG」にFitbitの端末に選ばれたことが明らかになった。糖尿病などの患者が増加したことから政府が市民に運動を奨励するにあたって、フィットネスバンドを利用する。Fitbitの最新の「Inspire HR」が端末となり、コーチングやガイドを受けられるFitbitの月額制プレミアムサービス(10ドル)を利用する場合は端末は無料(最低1年の契約が必要)。Fitbitは少なくとも100万人が参加すると見ている。
Fitbitはデバイスに加え、1to1コーチングなどのサービスも構築しており、企業が従業員向けに提供するヘルス・ウェルネスプログラムなどの市場を狙っている。これら法人向けの健康事業を展開するFitbit Health Solutionは2019年、1億ドルの売り上げを目指しているという。
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