読者の皆さんはインターネット上でのみ、やり取りがある友だちがいるだろうか。では、10代の子どもたちはどうなのだろうか。
デジタルアーツの「第12回 未成年の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」(2019年5月)によると、ネット上でのみコミュニケーションを取る友だち(ネッ友)がいる未成年は37.5%。女子高校生では52.4%、男子高校生では46.6%が「いる」と回答している。(https://www.daj.jp/company/release/common/data/2019/052401_reference.pdf)
ネット上の友だちと実際に会うことを希望する未成年は48.7%と約半数であり、女子高校生になると何と64.8%と6割以上が希望している。また女子高校生は、ネット上でのみコミュニケーションを取る友だちに「顔・容姿を教えても良い」(38.9%)、「本名を教えても良い」(29.6%)と考えている。
10代の子どもたちがSNSで過ごす時間が長いことはよく知られている。それにともなって、コミュニケーションする友だちも増えており、相手に自分の写真を送ったり、本名を教えたり、直接会ったりしているというわけだ。
「ネット上の友だちも友だち」
高校生たちが集まってスマホをいじっている様子はよく見かける。大人世代は、他人と対面しているのにスマホを使うのは「失礼」と感じるものだ。しかし、10代の子たちにとってはこのようなことは当然であり、失礼ではないようだ。最近ある中学校で聞いたときも、「眼の前でスマホを使ってほしくない」という生徒は多くなかった。
彼らにとっては、ネット上の友だちもリアルの友だちもあまり差がないようだ。「友だちから連絡がきてるのに返事しないと失礼だよね」と、リアルの友だちかネット上の友だちかなど気にしていないようだった。
先程の調査でも、悩みがある時の相談先に「ネット上・SNSのみの友達」を選ぶ男子高校生は16.9%、女子高校生は13.8%いる。理由は「家族や友人、学校の先生などと話すより楽しいから」「家族や友人、学校の先生などに知られたくない秘密を守ってくれそうだから」となっている。
子どもたちは周囲の人達に本音を知られないよう、SNSでも複垢を使い分けている。SNSの友だちがむしろ安心でき、信頼できる相手となっている実態があるのだ。
ネットではすべてを偽れることに注意
10代の子たちは、「ネット上でやり取りすればいい人かどうかわかる」と自信を持っていることが多い。しかし実際は、相手が自称している年齢や性別、顔写真などを信じ、簡単に騙されてしまっている。
SNS経由で知り合った相手から性被害を受けたある高校生は、被害後も「相談に乗ってくれていい人だった」と口にしたという。最近は、SNSを通じて裸写真などを送らされる自画撮り被害も小中高校生で増加中だ。
ネットでは年齢・性別・職業や本心などを偽れること、悪意がある大人が混じっていることは伝えてあげてほしい。
著者紹介:高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを 手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)、『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『できるゼロからはじめるLINE超入門』(インプレス)など著作多数。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などメディア出演も多い。公式サイトはhttp://akiakatsuki.com/、Twitterアカウントは@akiakatsuki
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