世界規模のロボット大会「DJI RoboMaster」から生まれたS1
RoboMaster S1は、もともとDJIが主催する「RoboMaster」というロボットコンテストから生まれたロボットだ。コンテストはエンジニアをヒーローにしたいというコンセプトのもとに生まれたもので、2013年より中国で行なわれている。大学生向けで世界中から累計400校以上が参加しており、さまざまなタイプの次世代ロボットや空中ロボットを設計・制作し、バスケットボールコート大の競技フィールドで競い合う。
そんなRoboMaster S1は、さまざまな機能を備えた高性能な地上走行ロボットである。本製品の特徴をひとつひとつ見ていこう。
まずはFPVカメラ。前方を映すだけでなくAI技術により他の機体や人を認識可能。フルHDでの撮影も行なえる。次にブラスター機能。ゲル弾と赤外線ビームの発射が可能で、ゲル弾はBB弾とは違い、水につけておくと柔らかくなる無害なもの。たとえ口に入ったとしても大丈夫という。
メカニカルジンバルは、FPVカメラとブラスターを搭載した土台だ。左右540度、上下が65度動き、幅広い視野を提供してくれる。±0.02度程度の振動制御も行なうため、FPVで撮影した映像は滑らかなものになっている。
ボディーアーマーは、周囲の状況を把握するために31個のセンサーが組み込まれている。また、ヒットポイント検知センサーが6つ付いていて、当たるとゲージが減っていく。そのほか、音声センサーも備わっているので、音声コマンドの受付も可能だ。
最大の特徴ともいえるのが、メカナムホイール。車輪に12個のローラーが付いており、精密な動きを可能にしている。例えばその場で回転したり、スライドするような真横への移動も行なえる。
さらにPWMポートを装備しており、サードパーティー製の何かをつくって接続したり、このポートを使ってなにか新しい研究をすることもできる。
インテリジェントコントローラーは、さまざまな機能の処理を行なうところ。CPUは5コアで高速処理し、低遅延を実現。AIコンピューティングやプログラミングなどの処理もここで行なっている。
各部との伝送には、工業用グレードのCAN-BUSケーブルを使用。大量のデータを瞬時にインテリジェントコントローラーへ転送できる。
ドローンで培った、6つのAI機能を搭載している。線をフォローしたり、人を追いかけたり、ジェスチャーやビジョンマーカー、ほかのロボットの認識が行なえる。
RoboMaster S1専用アプリは、AndroidやiOS、Windows版が用意されていて、操縦からプログラミングまで行なえる。
プログラミングは、初心者でも簡単なScratch 3.0とAIなどでよく使われるテキストベースの汎用言語Python(ベータ版)の2つが用意されていて、ユーザーのレベルに合わせて組める。チュートリアルも用意されているので、初心者でも理解しやすいはずだ。
デバッグも簡単で、組んだプログラムを即実行でき、今どこを実行しているのかも視覚的にわかるようになっている。いちいち、ケーブル接続してプログラムを転送して……なんて面倒な作業は不要だ。
バトルモードでは、対戦ゲームを楽しめ、ゲームを優位に進められるカスタムスキルを設定することも可能。スキルはプログラミングによって自由に組めるので、ゲームで楽しみながらプログラミングを学べる。教育用ロボットと呼んでいる所以である。
RoboMaster S1は、購入すると完成品ではなくバラバラになった部品が届き、1から組み立てるところから始まる。これにより、どのように動作するのかという、ロボットの仕組みも学べることになる。大人で2時間ぐらいと言うから、子供の場合は親と一緒に組み立てていくといいだろう。
ASCII.jpでもおなじみのエンジニア兼タレントの池澤あやかさんが、組み立てに挑戦したビデオも公開されている |
週刊アスキーの最新情報を購読しよう