週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

「IoT H/W BIZ DAY」の出展をきっかけにテクノラボと共同開発

プレート1枚で空中映像を実現するアスカネット、球形のスマホ用ディスプレーを公開

2019年09月06日 11時00分更新

2019年8月26日、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにて「IoT H/W BIZ DAY 2019」が開催された。空中ディスプレー「ASKA3Dプレート」を開発するアスカネットは、組み込み提案として、工場や医療現場、銀行ATM、IoTなどの利用シーンをイメージしたデモ機を展示。高精細な空中映像と触れずにタッチ操作できるプレートの可能性に、多くの来場者の関心を集めていた。

アスカネット エアリアルイメージング事業部 企画・生産管理チーム 篠原由貴氏(左)、マネージャー 大西康弘氏(右)

 ASKA3Dプレートは、画像や立体物を空間に表示するガラス製または樹脂製のプレートだ。プロジェクターによる投影とは異なり、光源装置やスクリーンは不要で、プレートを1枚置くだけで空間にクリアな映像を表示する。この仕組みは、鏡を直角に組み合わせると、光の反射で像を表示する2面直交リフレクターの原理を応用したもの。

 ASKA3Dプレートの内部は、間隔で配置されたミラーを垂直に張り合わせた2層構造になっており、画像や立体物の光がプレートに反射して、プレートの反対側の等距離の位置に、同じ大きさの像を表示する。ミラー構造の密度が高いほど、像を精細に表示でき、高精度の製造技術こそが同社の強みだ。

 さらに、赤外線モーションセンサーと組み合わせることで、空中の映像をジェスチャーで操作できる。手袋をして作業をする医療や工場内での機器操作や、不特定多数の人が触れる飲食店のメニューや暗証番号の入力端末など衛生面が気になる場所など、幅広いシーンへの利用が期待される。

 ASKA3Dプレートは、大型のサイネージ向けのガラス製と、量産向けの樹脂製があり、樹脂製はガラス製と比較し低コストが特長。

 アスカネットのブースでは、ASKA3Dプレートの組み込みサンプルとして、ジェスチャー操作が試せる空間ディスプレー、PCに接続して使うサブディスプレー、球形のスマホ用ディスプレーの3種類のデモ機を展示。

ガラス製のASKA3Dプレートを用いたデモ装置は、工場、銀行ATM、医療、音楽、IoTの5つの利用シーンを想定したUIを用意

手前にモーションセンサーが組み込まれており、空間でのタッチ操作を体験できる

PCのサブディスプレーとしての利用例

 球形のスマホ用ディスプレーは、コンシューマ向け製品への組み込み例として、プラスチックケースメーカーのテクノラボと共同開発したものだ。

 ケース上部には樹脂製のASKA3Dプレートがはめ込まれており、スマホを差し込むと画面の映像が空間に現れる。内部はワイヤレス充電器になっており、充電しながら写真や動画が見られる。さらに、スマホのインカメラをセンサーとして使い、ジェスチャーで写真をスクロールするデモも行なっていた。こうした既存のスマホの機能をうまく使えば、別途ハードウェアやセンサー装置を追加しなくても、アプリ次第でいろいろな使い方に応用できそうだ。

「IoT & H/W BIZ DAY 6」の出展をきっかけにテクノラボと共同開発

 ASKA3Dの特徴は、高解像度のクリアな表示と、表示位置がずれないタッチ精度の高さにあるが、どちらも実際に体験しないと伝わりにくい。そこで、同社は国内外の展示会へ出展し、デモを通じてメーカーにアピールしている。

 アスカネットは、昨年9月14日に開催された「IoT & H/W BIZ DAY 6」に続いての出展だ。前回の出展でテクノラボと出会い、共同開発につながったそう。

 コラボのメリットは、プレートの用途をイメージしやすくなる、というだけでなく、それぞれがイベントに出展することで、双方の製品や技術をより多くの人にアピールできる点だ。今回の「IoT H/W BIZ DAY 2019」には、テクノラボも出展しており、テクノラボ側のブースでも同デモ機を展示していた。

 テクノラボのブースでASKA3Dプレートに興味を持ち、アスカネットのブースで詳しく技術を聞きに来る来場者もいれば、逆にアスカネットのブースで、テクノラボの小ロットの量産サービスを知る、というパターンもある。さらに、両社が単独で出展する国内外での展示会でもデモ機として出品することで、お互いに宣伝効果は倍増しているとのこと。

 広告宣伝に大きな費用がかけられないスタートアップにとって、こうしたコラボは大きなプラスになる。モノづくりのスタートアップが集まるIoT H/W BIZ DAYでは、出展者同士でアイデアやコラボを提案し合うことは珍しくない。自社製品や技術のアピールだけでなく、新しいアイデアや仲間を得るためのコミュニケーションの場としてもどんどん活用してほしい。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事