中国の独自アプリエコシステムは成立しえるのか
HarmonyOSの今後は、「スマートフォン」と「中国」の2つの側面で占うことができる。
まずはスマートフォンに採用するのかどうか。ここは米中貿易戦争の動向に依存するが、もしそうすると決断した場合、「中国」が重要なキーワードになりそうだ。アプリの問題を解決できるからだ。
中国では、グローバルで使われているオンラインサービスの中国版がほぼすべて揃っている。これらの企業がHarmonyOS向けにアプリを用意さえすれば、アプリエコシステムが整う。実際に、HarmonyOSを発表するプレスリリースでファーウェイは、「中国は強いアプリエコシステムと巨大なユーザー数を持つ市場だ。今後ファーウェイは中国市場でHarmonyOSの土台を作り、世界に拡大する」と語っている。
ファーウェイの中国市場におけるシェアは35%(2019年第1四半期、CounterpointResearch調べ)。このシェアを土台に、HarmonyOSを積極的にスマートフォンで採用することになれば、無視できない存在になるだろう。そして米中貿易戦争の余波を恐れる他の中国メーカーがHarmonyOSを採用すると一大勢力になる。OPPOなどの中国系メーカーがHarmonyOSをテストしているという報道も見られる。
この動きが成功すれば、HarmonyOSは今度こそ“第3のOS”となるだろう。もし失敗すれば、米国政府はさらに有利にファーウェイを米中貿易戦争の切り札に使うことになるのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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