楽天が全社を挙げて、自社のサービスを紹介する「Rakuten Optimism 2019」が、パシフィコ横浜で7月31日~8月3日まで開催されている。今年は「5G時代を、先取りしよう。」をテーマに、5Gを中心としたイベントとなっている。
同社会長兼社長の三木谷浩史氏らが登壇するビジネスカンファレンスに加えて、「体験型イベント&フェスティバル」が同時開催されており、5Gを絡めた開発中のサービスなども展示。今年10月の楽天モバイルによるMNO参入を前に、5Gにまつわる技術展示などが多かったのが特徴的だ。
アンテナをはじめとする5Gの技術展示が見られた
シールド箱内では実際の5Gによる通信も実施
現在、MNO参入に向けたエリア整備を進めている楽天だが、会場には5GやLTE対応の基地局やネットワークの技術展示が見られた。単にネットワークだけでなく、パートナーによる5Gを応用したソリューションも展示し、5Gによって何を実現するかを紹介する構成になっていた。
そんな中で、中国のスマートフォンメーカーであるOPPOが、欧州向け5G対応スマートフォンを持ち込み、実際にシールド箱内で通信した結果を示すデモを行っていたのに注目した。
使われていたのは国内でも4Gモデルが登場している「Reno 10x Zoom」。5G対応モデルは、すでに欧州で5Gによるサービスが開始されている地域向けに発売されている。5Gは3.4GHz帯、アンカーバンドのLTEは1.8GHz帯で接続しており、通信速度は1.7Gbpsを叩きだしていた。楽天モバイルはサブ6での通信は理論値で1.74Gbpsと想定しており、その設定に近い数字での通信をアピールする。
今回のデモは、5Gに対応したテストプラットフォームを提供するキーサイト・テクノロジーズとOPPOが共同で実施するもの。OPPOの担当者は、5G通信はスループットが向上する分、消費電力などに影響を受けるが、そういった技術的な部分で端末メーカーの実力が分かれると胸を張る。
5G版のReno 10x Zoomは、日本で販売されているモデルとデザイン的にはほぼ同一だが、やや厚みが増しており、側面のアンテナ位置も多少異なる違いはある。もっとも、そもそも厚みがある筐体でもあり、ほぼ同等のサイズを実現していた。
実際の5Gを使ったデモでは、オンラインの格闘ゲームが使用されていた。一方は市販のモバイルルーターを使ってUSB経由でLTEに接続したPC、もう一方は5G実験局の電波を受信したアンテナから有線ケーブル経由で接続したPC。ブースの説明員によれば、LTEは6Mbps程度の通信速度なのに対し、ゲームに必要な通信速度は30Mbpsであるため、表示されているゲームは読み込みが追いつかず、遅延も大きい。一方で5Gでは350Mbps程度が出ているそうで、実際の画面もキレイで遅延も感じられないレベルだった。
5Gには、高速、大容量、低遅延、多数接続といった特徴があり、オンラインゲームや大容量データのダウンロードといった効果はわかりやすい。こうした特徴は、さまざまな応用が期待できる。2020年には、日本でも5Gの商用サービスが開始される。実際のサービス開始に向けて、各社のさらなる取り組みを期待したいと感じさせるイベントだった。
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