スカイラインやフェアレディZ、シルビア、セフィーロ、セドリック……。誰もが一度は耳にしたことがある日産車たち。その名前だけで、誰もが色々な思い出や記憶がよぎることでしょう。そんな日産自動車(以下、日産)が生み出した数々の名車を一堂に公開している場所が、「日産ヘリテージコレクション」です。ウェブサイトから事前に予約をすれば誰でも無料で見学が可能とのことですので、今回お邪魔してきました。
座間事業所の一区画にある
日産ヘリテージコレクションでMID4に遭遇!
日産ヘリテージコレクションは、 神奈川県の座間事業所内にある一施設。車に詳しい方でしたら「座間工場」という名の方が通るかと思いますが、現在座間事業所では量販車の製造はしておらず、施設では量産試作や金型などの製造、そして電気自動車やハイブリッド車には欠かせないモーターインバータの開発とリチウムイオンバッテリーの開発・生産を請け負っているそうです。日産ヘリテージコレクションは、その施設内の奥、1960年に建てられた工場の建屋を改装し、一般に公開しています。
このような名車を展示する施設として、国産メーカーではトヨタ博物館やホンダ・コレクションホールなどが挙げられます。これらはミュージアムのような施設の中で名車が美しく展示されているのに対し、日産ヘリテージコレクションは数多くの名車を送り出した工場に作られた巨大な“ガレージ”で見学するという点で、大きく異なります。
というのも、ヘリテージコレクションはもともと本社ショールームでの企画展や年に1度開催される、日本でもっとも長い歴史を持つメーカー主催のモータースポーツファン感謝イベント「NISMO FESTIVAL」などで展示・走行する車両の保管庫を、普段からもっと日産を見て知ってほしいという想いから、2013年に公開開始したという経緯があります。このガレージとしての機能は今も生きており、公開される車は常に変わるとのこと。それゆえに何度訪れても飽きることはありません。
施設に入ると、麗しい案内係の女性と、セレナe-POWERやノートe-POWERといった最新の日産車がエントランスでお出迎え。ちなみに日本の自動車メーカーでショールームを開設し、女性のアテンダントを配置したのは日産が日本初だそうです。
そんな今の座間事業所で一部作られた車両達から少し歩き進むと、その昔、座間工場時代に作られていた車を見ることができます。年配の方には懐かしさを覚えるのではないでしょうか?
さらに奥へと進むと街で見たことが無い車が一台。「MID4-II」です! MID4-IIとは、1987年の第27回東京モーターショーで発表された2シーターのコンセプトカー。3リッターV6 VG30DETT型エンジンを車体中央部に配置し、ミッドシップレイアウトを採用した四輪駆動のスポーツカーです。残念ながら市販化はされなかったものの、その後に登場するZ32型フェアレディZやS13型シルビアに、そのデザインやテクノロジーは受け継がれました。市販されていたら、日本のスポーツカーの歴史は変わっていたかもしれません。
それでは展示室に入ることにしましょう。仕切りのない広大なフロアに、ところ狭しと日産車が並ぶ様子に圧倒されます。まさに巨大なガレージといったところ。入り口から1920年代、30年代と年代順に車両が並び、日産の今昔物語を歩きながら読み進めるといった感じです。
公開されている生産車の約半数は寄贈された車だそうで、今でもカスタマーセンターには「自分が長年乗ってきた愛車を寄贈したい……」という問い合わせが後を立たないとか。こうして寄贈された車をオリジナル状態へとレストアして並べるわけです。こういった車両は、日産全体で約480台所蔵しているそうで、ヘリテージコレクションでは、そのうちの約300台を保管・公開しています。
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