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Amazonが買収したスーパーマーケットで生じた変化

2019年06月27日 08時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

さまざまな新しい社会的な取り組みが行なわれるバークレー
半年の間でもあちこちに変化が

 6月上旬は、AppleのWWDCに参加するためにカリフォルニア州サンノゼを訪れていましたが、再び今週もバークレーに来ています。

 サンノゼからはクルマで1時間ほどの距離ですが、冷たい海流が冷たいまま流れ込んでくるサンフランシスコ周辺は、この季節になると分厚い雲に覆われて、最低気温は10度をわずかに上回る気候。東京はすでに蒸し暑い気候に見舞われていることを考えると、やはり寒冷なエリアだと思いました。

 6ヵ月ぶりのバークレーでしたが、街中ではいろいろな変化を見つけることができました。たとえば、駅前で大規模再開発が始まっていたり、いままで「Ford GoBike」という名前だったシェアバイクが、新たに「Lyft Wheel Bay Bike Station」に変わっていたり。

 バークレーで一番小洒落たショッピング街の4th Streetには、なんと日本の伊東屋の米国ブランド、「Top Drawer」というお店ができていました。その隣にあるカバンの工房兼ショップのオーナーの職人さんは「日本の大」と書かれたショップブランドのTシャツを着ていて、日本への関心は依然高いのだな、と思い知らされました。

銀座に本店がある文房具店のお店がバークレーにできていました

 米国のしかも地方都市の郊外という位置づけのバークレーは、比較的街の風景が変わりにくい印象がありましたが、行政が許可を与えたり禁止する形で、全米に先駆けて環境によい新しいことを始める街として知られています。

 今年1月の市議会では、持ち帰り用の紙コップやお皿、箱などはすべて土に返る素材を使うことを義務づけるとともに、来年はそうした1回しか使えない食器やコップを提供する際に25セントを課金することを決めました。そしてレストラン内での食事の場合、課金したとしても、紙皿や紙コップなどでの提供が禁じられます。

 日本でもプラスチックの食器やストローなどを排除する動きが活発化しましたが、バークレー市は1989年にすでに禁止済みで、砂糖入りの飲料に税金を課すソーダ税も導入済みです。

 特にソーダ税は飲料メーカーによる反対キャンペーンもありましたが、結果的にはバークレー住民の73%が賛成し、課税を選択したそうです。こうした議論を呼ぶ懸案が先に政策として試され、バークレーで何が起きているのかは、日米の生活の違いはありますが、面白いベンチマークになっているといえます。

大学のキャンパス内にもAmazonのストアが
もちろん大学生で一杯

 さて、バークレーの街の顔とも言えるのが、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)。

 UCといえばロサンゼルスのUCLAの方が世界的には有名ですが、カリフォルニア大学の本校は実はバークレーの方で、物理学やコンピュータサイエンス、ジャーナリズム、エコロジーなど、さまざまな分野の研究が世界的に評価されています。

 元素記号を3つ発見し、キャンパス内にはノーベル賞受賞者専用の駐車スペースがいくつも用意されているような大学です。

 その真新しい学生会館に入っているのが、あのAmazonです。配送先として選択できるロッカーが用意されていて、近辺の倉庫に在庫があるものはその日のうちに受け取れるだけでなく、簡単にラベルをプリントして返品できるポストがあったりして、学生生活にAmazonが役立っている様子がつぶさに見て取れます。

 昨年まではKindleやFireTVなどのAmazonブランドのデバイスが展示してありましたが、それすらなくなり、もはやAmazonとしてアピールするまでもない、といったところでしょうか。

 またバークレーの4th Streetには「Amazon 4-star」という、オンラインストアで4つ星以上を獲得した商品ばかりを集めたリアル店舗があります。値札にもちゃんとレビューの星の数とレビュー数が表示され、オンラインと同じ価格で販売されます。ものによってはプライム会員向けにさらに15%割り引かれていました。

 大学内のAmazonの店舗には当然ながら学生ばかりが入っていきますが、Amazon 4-starに吸い込まれていくのは老若男女あらゆる世代の人々です。やはり、オンラインショッピングの利便性は代えがたいですが、買い物の原体験として、手に取って見定めるという楽しさも失われていないもの。

 しかも揃えているものは高評価のものしかない、ということで、筆者もついつい足が向きます。

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