低価格だが思いのほか音がいい。そんなコンセプトが受けて人気機種になったのが、TaoTronicsのBluetoothイヤホンだ。中でも、ほぼ3000円の「TT-BH07」は専門店などを中心にベストセラーになった。
この「TT-BH07」を改良したのが、「TT-BH07S」だ。最新のBluetoothチップや音質面でのブラッシュアップを経て、本日からe☆イヤホンでの先行販売が始まっている。価格は5000円台と少し高めになったが、機能は強化されている。
具体的には、低消費電力なクアルコムの「QCC3034」を搭載し、最長15時間の再生時間が可能になったこと、そしてaptXに加えて、48kHz/24bitのaptX HDコーデックにも対応したことなど。振動板をチタンコートした直径6mmのドライバーを採用。IPX5対応の防水機能も備える。またマイクはCVCノイズキャンセリング 8.0対応でクリアな音質だ。
充電にはMicro-USB端子を使用。充電時間は1時間半となる。
遮音性が高く、再生音はクリア
Bluetoothの定番モデルとしていぜん強い存在感
実機を手に入れたので、短時間試聴してみた。
まず感じたのは付属のフィンのフィット感がよく、高い密閉感がある点だ。イヤホンの再生では遮音性が特に重要だが、装着してみると、耳栓を付けたように周囲の音が聞こえなくなり音楽に集中できる。ただ、遮音性が高いためか、たまに残留ノイズが気になることもある。
バッテリー駆動時間は、十分な長さで、丸1日使い続けてまったく問題ないレベル。ただし、アンプの出力も低めに抑えられているのか、iPhone 8と組み合わせ、Spotifyなどを再生する際には、やや高めの音量位置に設定する必要がある。静かな室内で、J-POPなどを再生する場合、50%程度ではやや物足りない印象で、70%程度が筆者としてはちょうどいいぐらいの印象だった(ソースにもよるので一概には言えないが)。屋外や騒音の多い場所であれば、もう少し大きめのほうがいい。
使用しない場合は左右のドライバーを磁石で合わせて、邪魔にならないようできる機構を持つなど、デザイン面では従来機の特徴を踏襲。色は4色が選べる。音声ガイダンスなどはなく、電源のオンオフやペアリングなどをする際はLED表示や単純なビープ音で確認するなど割合簡素になっている。
トーンバランスに関しては、中高域がきれいに聴こえて、女性ボーカルなどが艶やか。全体にS/N感が高く、クリアな印象。シンバルやトライアングルなど金属系の音の立ち上がりが早く、純度が高い。残響成分なども丁寧に再現するので、空間の広がりを重視したソースなどとの相性もよさそうだ。低域は量感自体は標準的(もしくはやや抑え目)な感じがするものの、明瞭で不自然さがない。Astell&Kernの「A&ultima SP1000M Gold」と組み合わせると、(当たり前だが)aptX HDで接続。ボリュームがプレーヤー側の調節と、ヘッドホン側の調節の両方が反映されるのは、iPhoneとの違いだ。
従来機種はコスパの面で優位性も圧倒的だった。Bluetoothイヤホン自体の低価格化が進んでいる現状を考えると、5000円台の価格は少し高くなった感じもあるが、スマホやプレーヤーがaptX HDに対応していて、できるだけ情報をそこなわずにBluetooth再生をしたいと考えている人にはいい選択肢になる。屋外使用時に雨にぬれたり、汗をかいても大丈夫なIPX5相当の防水機能対応で、かつ長時間再生になっているので、自宅やだけでなく通勤通学などでスマホと一緒に使うイヤホンとしては心強い。
音楽だけでなく、YouTubeの動画再生時のセリフの聴きやすさなども含めて、万能に使える印象なので、スマホと組み合わせるイヤホンとしては最適。遮音性の高さもあり、高音質な機種と実感できるはずだ。リーズナブルな価格帯での、定番的なBluetoothイヤホンという位置づけであるのは変わりなく、幅広い層におすすめできそうだ。
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