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日産「はたらくクルマ」でみたテクノロジーでの働き方改革

2019年06月13日 09時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

感動のアラウンドビューモニター

 昨今のミニバンやトラックには、カメラによって死角をなくす取り組みが盛んです。日産は、車両を真上から見て、周囲に人や障害物がないかを確認する「アラウンドビューモニター」を初めて実装しましたが、生協などの輸送に使われるアトラス・パネルバンにも搭載されています。

周囲をモニターで見ることができますが、用途によって機能性が異なるようです

 生協のトラックは、比較的若いドライバーが運転することが多く、4トン以下で中型免許不要の車種を用意する必要があるという事情があります。また住宅地の奥深くまで入っていくこともあり、トラックの死角をなくすカメラとモニターの仕組みは、ドライバーのストレスや事故をなくす上で重要な装備だそうです。

 さらにシビリアン・幼児バスでは、このアラウンドビューモニターの位置を工夫し、ドアの真上にカメラを配置することで、幼稚園児の乗降口を見守ることができるようにしています。

 幼稚園バスのドライバーは、周囲の交通はもちろん、乗り降り時の子供の場所や、ドアの外に固まっている園児の確認に非常に気を使うそうです。アラウンドビューモニター自体は一般のクルマにも用意されていますが、工夫によって、現場に合った機能性を加えている点は、はたらくクルマならではと思いました。

違った視点でクルマが見られた

 さて、GRANDRIVEには1周3km強のテストコースがあり、一般道の中に潜む段差やロードノイズ、高速セクションなどがバランス良く配置されています。そこで、救急車、タクシー、ADバン、アトラス・パネルバン、セレナ e-Power チェアキャブの5車種を運転してみました。

実際に5車種を運転することもできました

 たとえば救急車は高速性よりも静粛性やトルクを重視するセッティングになっていたり、バンをベースにしたタクシーは視界の広さや室内の高さでドライバーも快適さを増していたり、ADバンは運転席周りの収納の豊富さとエンジンのパワフルさが重視されていたり。クルマ作りからして、現場の声がふんだんに取り入れられていることが分かりました。

 こうしたはたらくクルマに対して、環境性能が極めて高い電気自動車化を進めたいという思いはあるようです。クルマの乗り味の調節などは、むしろ電気の方がやりやすいのではないかと思います。しかしリプレイスの周期や充電設備の普及、そして車両自体のコストにシビアなビジネスでもあり、もう少し時間がかかるかもしれません。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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