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ヘッドホンのfinalが音響講座を開講、エージングの効果は本当にある? 数値化できない音の印象をどう伝える? 

2019年06月11日 12時15分更新

イヤホンはフラットな再生には作られていない!?

 冒頭の疑問などにも触れながら、講座の内容を簡単に紹介してみよう。

 まずは、イヤホン・ヘッドホンの周波数特性は「フラットになっているかどうか?」(どの周波数も同じ音圧レベルで再生されているか)から。答えはノーだ。実際には、人間が聞いてフラットに感じやすい特性に調整されている。

E3000の周波数特性。フラットにはなっていない。

 これは人間の身体的な構造や、音の聴こえ方に関係している。もともと人間の耳は同じ強さでも周波数が変わると小さく聴こえたり、大きく聴こえたりする。低域や高域を感じにくいことに加え、身体的な影響(反射や回折)によって、鼓膜に到達する音の周波数特性も変わってしまう。

フラットに再生すると、低域が抜けたヘンな音になってしまう

 また、人間の脳は「空間」と「音色」を別の仕組みで認識することが知られている。まず「音の方向」を認識し、身体的な影響によって物理的に生じる変化の影響を打ち消し、改めて「それが何の音なのか」を判断するのだ。これは耳で周囲の危険を察知するうえでは有効だ。しかし、耳道に入れて、直接耳の鼓膜を揺らすイヤホンでは不都合も生じる。音が伝わってくる周囲の空間や、体や頭部、耳(外耳)の形状などの影響を考慮に入れて、人間がフラットに感じる調整をしないといけない。

 そのために用いられるのが、ターゲットカーブと言われるものだ。「自由音場」(無響室)もしくは「拡散音場」(残響室)で計測した、スピーカーの再生音のデータを参考にするのが一般的だ。また、より自然な再現にするため、ハーマンのように自社で用意した「独自のリスニングルーム」のカーブを使っているブランドもある。

自由音場を想定したターゲットカーブ

拡散音場を想定したターゲットカーブ

無響室はスピーカーの位置が分かりやすく、残響室は位置が分からないという特徴を持つ

Harmanは、より自然なリスニングになるよう、独自のリスニングルームを用意している。

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