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WWDC19で感じたのは、体験をもとにアップルがサービスの整理整頓を進めているということ

2019年06月07日 09時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

横断するテクノロジー

 ただし、こうした体験に基づく縦割の整理だけでは、現在のAppleのエコシステムを語れません。どのデバイス・アプリでも用いられる基礎的なテクノロジーという横軸もまた存在しているからです。

 Siri、地図、AR、写真などのアプリとしてみられるサービスから、プライバシーやセキュリティと言った対策に至るまで、プラットホームやデバイス、アプリを横断して活用されている様子が浮き彫りになります。

 そのため、今回いろいろな整理をしながら話していてもわかりにくかったのは、iOSのパートで説明していても、iPadOSやmacOS Catalinaで利用できる仕組みになっている、という話が多かった点です。これを理解するために、縦軸と横軸で見ていく必要がある、というわけです。

 その一方で、こうした見方は、新しいアイディアを創り出す際にも便利です。

 たとえば、地図で友人に到着予定時刻を伝えたい場合、「誰に」伝えるかをおすすめするためにSiriでカレンダーやコミュニケーションの経過を判断し、位置情報の共有セッションを開き、その場限りで共有を終了させるというプライバシー機能を活用する。

 このように、すでにあるサービスの組み合わせで実現できることは非常に多く、Appleがまだ作っていない組み合わせも存在しています。Appleの体験による整理は、そうした未知の領域を見つけやすくする役割も、担っているかもしれません。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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