2020年春から楽天ペイアプリ内で
Suicaの発行、チャージが可能に
楽天グループの楽天ペイメントとJR東日本は6月5日、キャッシュレス化の推進に向けて連携することを発表した。楽天ペイアプリ内でSuicaの発行、チャージに対応することで、国内のキャッシュレス化をさらに推進したい考え。サービスの提供は2020年春からを予定している。
JR東日本のSuicaは、鉄道やバスなどの乗車券としての利用に加え、60万ヵ所以上で商品購入などの支払いに使える電子マネーとして利用されている。カードタイプのSuicaに加え、スマートフォンで利用できるモバイルSuicaも提供されており、Apple Pay、Google Payといったスマートフォン決済のプラットフォームにも対応している。
それでも、現時点では物理カードでの利用が多く、券売機での現金チャージなどでのコストがかかっており、交通系での利用のみにとどまるユーザーも多い。逆にスマートフォンでのSuicaでは、オンラインチャージが可能で券売機を利用する必要がなく、電子マネー利用も増える傾向にある。
こうした利用拡大を目指して対応プラットフォームを拡大してきたSuicaだが、今回オンラインサービス大手の楽天と連携することで、さらなるユーザー獲得、利用拡大を図る。JR東日本常務執行役員IT・Suica事業本部長の野口忍氏は、「Suicaの可能性を広げる意味で楽天は、最大のベストなパートナーだと考えている」と強調する。
今回の連携では、楽天グループの決済アプリ「楽天ペイ」上でSuicaを発行し、そのままチャージができる、というもの。FeliCaを搭載したおサイフケータイ対応Androidスマートフォンで利用でき、発行したSuicaはそのまま交通機関への乗車、電子マネーでの支払いに利用できる。
チャージは、楽天ペイ(アプリ決済)を利用すれば、アプリ内でそのままチャージでき、楽天スーパーポイントも貯められる。楽天ペイに登録した楽天カードでチャージができるので、新たなカード登録などが不要なので、すぐに発行・利用が可能。基本的には通常の乗車券と電子マネーとしての利用だけで、特急券や定期券などの利用には、JR東日本の「モバイルSuica」アプリが必要だ。
JR東日本にとっては、楽天を頻繁に使うユーザーだがSuicaを物理カードでたまにしか使わない、といった利用者を特にターゲットにしており、スマートフォンでのSuica利用に誘導したい考え。楽天側にとっては、楽天ペイアプリの利用率を拡大し、チャージへの楽天カード利用での収益拡大などのメリットがある。
また、「アプリの同意ベース」(野口氏)で、Suicaの利用履歴を楽天側にも提供する。現時点でどういった情報が提供され、どういった同意を求めるかは決まっていないとしているが、こうした利用履歴のデータを得られる点も楽天側のメリットと言えるだろう。ただし、Suicaの利用データの外部提供には一定の配慮が求められるので、両社の適切な対応を期待したい。
楽天では、「Suicaをチャージするときに楽天ポイントを付与すること」(楽天ペイメントの中村晃一社長)も検討しており、楽天利用者がSuicaを頻繁に使うようになり、「今までリーチできなかった層への広がりにも貢献できる」(同)と期待する。
提供開始は2020年春と時間がかかるが、これは「現在のシステムではそう簡単にシステム内に(楽天ペイ対応を)組み込めない」(野口氏)ことが1つの要因だという。同時にJR東日本では、同様の他社連携のためにAPI化などのシステム改修をしているそうだが、現時点では個別対応となるため、楽天との連携に時間がかかる、としている。
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