台湾の通信キャリア、中華電信は5Gのテスト電波を使い、5Gスマートフォンを使った1Gbpsの高速通信デモを披露した。
中華電信は現在、エリクソンと協業し同社のネットワーク設備を使って台北市などで5G NR方式のテストを実施している。使用している周波数は3.5GHz(サブ6GHz)と28GHz(ミリ波)。COMPUTEX TAIPEI 2019の同社ブースでは、LTEの1.8GHzと合わせたNSA(Non Stand Alone)の基地局のシステムを展示。ライブデモは5G NR、3.5GHz、100MHz幅の試験電波が使われた。
スマートフォンでのスピードテストを数回行なったところ、いずれもラクに1Gbpsをクリア。上りは50Mbps前後だった。なお、デモに使ったスマートフォンはメーカー非公開とのこと。ディスプレー右上にパンチホールが無いため現在韓国などで販売されている「Galaxy S10 5G」ではない。フロントカメラが見当たらないことやベゼル幅の形状から、シャオミのスライド型端末「Mi MiX 3 5G」と考えられる。デモ端末のアンテナマークの右に見える「35」の表示は、おそらく3.5GHz帯の5Gの電波をつかんでいる意味だろう。
中華電信ブースには他にも導入予定とされる5G端末が展示されていた。ASKEYのCPE(屋内機器)は製品化目前で、実際に5G電波をつかむことができる実機とのこと。また、Compalの5GモバイルWi-Fiルーターはモックアップで、5000mAhのバッテリーを内蔵予定。本体のサイズは一般的な4Gのルーターより一回り大きい。
ブースでのデモは行なわれなかったが、説明員によると5G NR、28GHz、400MHz幅のミリ波でのテストでは、クアルコムの5G試験端末を使い下り1.5Gbps以上と、3.5GHzのテストよりもさらに高速な結果を得られたとのこと。
ところでクアルコムはCOMPUTEX TAIPEI 2019に合わせ、5G内蔵ノートPC向けSoC「Snapdragon 8cx」を発表、それを採用した世界初の5GノートPC「Project Limitless」の開発機をレノボが披露した。同SoC内蔵の5Gモデム「Snapdragon X55 modem」の理論上の最大通信速度は7Gbpsに対応しており、中華電信が行なったライブデモの3.5GHz/1Gbps、28GHz/1.5Gbpsと同等の性能を出すことは十分可能だ。
5G対応のスマートフォンやノートPCが次々に発表される中、台湾の通信キャリアもそのパフォーマンスをフルに発揮できる5Gネットワークのテストをすでに実施しているのである。ブース説明員によると台湾の5G免許オークションは2019年末ころの予定で、早ければ2020年から5Gサービスが開始されるとのことだ。
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