キヤノンのミラーレス一眼カメラ「EOS R」が発表されたのは昨年10月のこと。その時に大きな注目を集めたのがレンズ「RF28-70mm F2L USM」だ。重さ約1.4kg、価格42万円というモンスターレンズの描写はいかに?
※写真はすべて原寸大で掲載しています。データ通信量にご注意ください。
キヤノンが世に問う「モンスターレンズ」
キヤノンは「他社より明るいレンズ」を出すことに熱心だ。そして人々はそれらのレンズ群に憧れ、手に入れた者はその描写の虜になっていった。バックフォーカスが短くなったRFマウントに、キヤノンのレンズエンジニア群は、さらなる明るさへの追求、描写の探求に火が付いたと考えるのは誰の目にも明らかなこと。RF28-70mm F2L USMはキヤノンだからでき上がった、キヤノンでしかでき得ないレンズだ。
一般的に24−70mm F2.8のズームレンズのことを「大口径標準ズームレンズ」と呼ぶが、それより1段F2という明るさを実現したこのレンズ。フィルター径は95mmと特大にも程があり、レンズを向けられるとギョッとするほど。まるでバズーカ砲を向けられた気になってしまい、身動きが取れなくなる。
伸長式のズームレンズであるRF28-70mm F2L USM。70mm付近での繰り出し量はそれほどでもない。RFレンズらしくコントロールリングが備えられ、ISO感度など各種機能を割り振ることが可能だ。絞りとシャッタースピードはそのままにして、感度で明るさを変えることはよくやる動作なので、このコントロール方法はとても有益だ。
外装のほとんどはプラスチック製だが、鏡筒の作りは極上の一言。高いレンズを持っている、という気分にさせてくれる。1.4kgというレンズということもあり、どうしても左手でホールドするという感覚が強く、バランスを取る上でもボディー側に追加のバッテリーパックなどを取り付けた方がよいだろう。そしてズームリングがボディー側にあるため、ホールディングしながらのズーミングなどはちょっとだけ窮屈さを感じた。
まるでバターのようにとろけるボケに
ため息しか出ない
さて、夕方の公園で人気コスプレイヤーでモデルとしても活動している美環さんの姿を納めることにした。EOS Rに取り付け、瞳AFモードで使ってみることにした。EOS RはF1.2開放でもバッチリモデルの瞳に合うのだが、まずはちょっと絞った状態で試してみることした。
いきなり鮮明な描写が飛び出して驚いた。周辺減光も少ないようだ。これほどまでの描写がカンタンに撮れるのがEOS Rシステムの恐ろしいところ。普通の大口径標準ズームでF2.8開放を撮ろうとすると、ボディー側のピント調整をしたり、マニュアルでピント微調整をする必要が出てくるが、EOS Rではカメラ任せで撮れてしまう。
AFはRF24-105F4L USMに比べると動作に遅さは感じるが、これだけのレンズで無限遠から近距離まで約0.1秒でロックするのは驚きでしかない。さらに驚くのはUSMらしい静かさで滑らかな動きと、RFマウントのレンズらしいAF精度。被写体が浮き立つように素早く合焦する様子は誰もが感動することだろう。
そのまま少し広角気味で撮影してみることにした。
歪みも少なく精鋭な画像が得られる。では、このままF2まで開けてみることにしよう。
なだらかなボケ味が印象的だ。このままアップを撮ってみると、いかにも大口径レンズの描写が現れてくる。
夕暮れ感を出したいと思いアンダー気味に撮ったところ、暗すぎたというのはご愛嬌として、まるで溶かしたバターのようなボケ味はいかにも大口径レンズの出方だ。恐ろしいことに解像度に不満はまったくないし、歪曲も確認できない。色収差も見つけることができなかった。それではシャッタースピードを遅くして明るめに撮ってみよう。
感度を上げているとはいえ、夕暮れ時にも関わらず1/640秒でシャッターが切れるというのは驚きでしかない。透き通るような肌の質感、モデルが浮き立つような描写にうっとりする。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります