「決まったサイズに入れたい機能を搭載するのが難しかった」
企画から製品化、そした発売まで順調かのように見えるDeskMini A300だが、すんなりと製品が完成したわけではなく、苦労した部分も数多かったという。
「まず、ケースを従来モデルと同じにするということから、Ryzenをいかに入れるのかで苦労しました。ケース内のスペースが限られているのでRyzen付属クーラーの使用を諦めたり、PCB(マザーボードの基板)に余裕がないことから、チップセットに高機能なA320ではなく、必要最小限の機能となるA300を採用したというあたりが、妥協した点です。それでもスペースが限られてしまっていて、残りの部分にメモリーを配置したり、M.2スロットを置いたりとレイアウトにかなり苦労しました」(Chris Lee氏)
マザーボードのサイズは、わずか約140×147mm。これだけしかサイズがないと、通常のデスクトップ用CPUを配置するだけでも難しい。まして、CPUクーラーのスペースを考慮して配置するとなれば、基板上のレイアウトに制限がでてしまうのも当然だ。また、純粋にケース内が狭く、高さのあるCPUクーラーが使えないというのもネックになっていたそうだ。
とはいえ、何も妥協している部分だけではない。攻めるところは攻めていることの証拠となるのが、M.2スロットの部分だろう。マザーボードの表面ではM.2スロットを2階建てにし、SSDの下にWi-Fiボードを装着できるようになっているし、また、マザーボードを外さなくてはアクセスできない裏面にも1つ、M.2スロットが搭載されている。
「通常であれば2階建てにすることはないのですが、Wi-Fiを内蔵できるようにするため、重ねて装着できるようにしました。また裏面のM.2スロットですが、小型PCであってもユーザーにとってストレージというのは非常に重要だと考えているため、そこは載せられる限界まで入れたいという思から搭載しました」(Chris Lee氏)
このM.2の搭載により、DeskMini A300はM.2×2、2.5インチSATA×2の合計4台のストレージが内蔵できるようになったわけだ。アクセスしにくい場所であっても、あえてM.2スロットを載せてくるというあたりが、ユーザーとしてはありがたい。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう