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3ヵ月間の集中メンタリングでビジネスと知財戦略はどう変わったか? 特許庁IPAS Demo Day

スタートアップが陥りがちな8つの課題 日本初知財アクセラの成果

 経済産業省特許庁は3月14日、東京・日本橋ライフサイエンスハブにて、「特許庁 知財アクセラレーションプログラムIPAS Demo Day」を開催した。IPASは、スタートアップの知財戦略の支援を目的とした日本初の知財アクセラレーションプログラム。2018年度の第1期では、7月に募集を実施し、10月~12月の3ヵ月間に渡り参加企業へのメンタリングを行なった。本イベントでは、4組のスタートアップとメンター陣によるパネルディスカッションと、採択スタートアップ6企業によるプレゼンテーションが実施された。

 開会にあたり、特許庁長官 宗像直子氏が挨拶。「メンターの厳しい指摘に応え、限られた時間の中で決断を迫られる3ヵ月だったが、今回採択した10社はこの試練を乗り越えた。1期生が世界で活躍するユニコーンになることを期待している。来年度のIPASは規模を拡大し、15社を募集するので、ぜひ応募してほしい」と述べた。

宗像長官もスタートアップ支援チームのTシャツ姿で登場

 続いて、特許庁スタートアップ支援チームの貝沼憲司氏がIPASの概要を説明。

 スタートアップの知財戦略、新しい技術を発明したときに権利化するだけに留まりがち。しかし実際は、ビジネスモデル構築、研究開発、人材、マーケティングといったあらゆる局面に知財は関わっており、経営戦略と一体で知財戦略を考える必要がある。

新技術の発明時だけではなく、経営のあらゆる局面で知財は関わってくる

 そこで、経営戦略と連動した知財戦略を策定するために開設されたのが知財アクセラレーションプログラム(IPAS)だ。知財の専門家とビジネスの専門家で知財メンタリングチームを結成し、知財と経営の戦略をお互いに補強し合いながらスタートアップを支援するのが特徴。第1期では、知財メンター11名、ビジネスメンターに8名が参加した。採択企業には、比較的若い企業を中心に、IT、モノづくり、医学、バイオなど幅広い分野から10社が選ばれた。

 また、IPASのもうひとつの取り組みとして、セミナーイベント「ナレッジシェアプログラム」を紹介。弁理士やビジネスの専門家が講師となり、互いに知識を学び、交流を深める場として、これまで月1回のペースで4回のセミナーを開催。来年度も継続して実施される予定だ。

IPASで見つかったスタートアップが陥りがちな8つの課題

 続いて、デロイト トーマツ グループ IPAS事務局の小林 誠氏より、「スタートアップが陥りがちな知財の落とし穴と対応策」と題し、IPASを通じて知財戦略を策定していくなかで明らかになった、8つの課題を紹介した。

3つのフェーズに区切り、「ビジネスモデル及びシーズ戦略等の診断・構築での課題」として2点、「知財構築サポート」として4点、「即時権利化すべきシーズの出願サポート」で2点を紹介

 挙げられた課題は、1)自社の製品やサービスの顧客への提供価値が不明瞭、2)共同開発や共同生産などの際に不利益が発生、3)秘匿または権利化の見極めができていない、4)利益を生む/不利益を被らない権利とは何かがわからない、5)共同研究の技術の知財化で不利益が発生、6)特許を活用できる期間が短くなってしまう、7)専門家の活用場面がわからない、8)社内の知財部門の体制が整っていない――の8つ。

 これらは、採択された企業10社に共通して見られたポイントだった。IPASでは、これらの課題に対して、事業計画の見直し、営業ツールの活用提案、出願済み特許の評価や新たな特許アイデアの創出、社内に知財担当を任命するなど、さまざまな対応策が講じられたという。

 特にスタートアップの知財対策で気を付けることとして、2つのポイントが提示された。1つは、ビジネスモデルに連動した知財戦略を策定すること。2つ目は、専門家を積極的に活用すること。専門家の活用は、ビジネスを大きくするためには必要なコストだとアドバイスした。

 では実際のメンタリングの成果はどうだったのか。続くパネルディスカッションやプレゼンでは、採択企業の成果が語られた。

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