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2019年1Qの総括と国内での事業戦略も披露

物流業界のIoT化を推進するインテルCLP、日本通運が採用

2019年03月28日 14時00分更新

 2019年3月28日、インテルは2019年の第1四半期の振り返りと今後の展望を発表するプレスセミナーを開催した。同時に物流業界のIoT化を推進する「インテル・コネクテッド・ロジスティクス・プラットフォーム(以下、インテルCLP)」を発表し、共同でサービスを開発した日本通運も登壇した。

デジタルトランスフォーメーション支援のチームを創設

 プレスセミナーの冒頭、第1四半期のハイライトについて説明したのはインテル 代表取締役社長の鈴木国正氏。鈴木氏はCESやMWCなどイベントへの積極的な出展、FPGA新製品の発表、クリエイター向けXeonなど継続的なイノベーションをアピールした。

インテル 代表取締役社長 鈴木国正氏

 国内のPC市場については「健全な安定期」と統括。Windows 7の買い換え需要、働き方改革を前提とした法人PCの買い換え、プログラミングなどを見据えた教育市場の伸びなどによって、成長が牽引されていると指摘した。

 また、5G時代のビジネスに向けた取り組みも披露。クラウドのコアをエッジに延伸するアーキテクチャを示し、デバイス側での5Gモデム、基地局向けプロセッサー「Snow Ridge」、ネットワークコアでのFPGA、データセンターやクラウドを支えるXeonプロセッサーなどの製品ポートフォリオを披露。モバイルキャリアとして通信事業に参入した楽天ではインテルの技術が採用し、完全仮想化されたクラウドネイティブなネットワークが実現されているとアピールした。

インテルが描くクラウドベースの5Gアーキテクチャ

 さらに鈴木氏は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要さが日本でも認識されつつあると指摘し、日本企業のビジネス成長を支援する専門チームを立ち上げたという。「こうしたチームは作って終わりということも多いが、そういう経験を踏まえてあえて作った」(鈴木氏)というコーポレート戦略チームでは、各産業ごとのビジネス機会を深掘りし、既存顧客やパートナーごとの対応、テクノロジーの利活用などを検討し、デジタルトランスフォーメーションを支える新しいビジネスを創出していくという。

エンドツーエンドで物流を監視するインテルCLP

 プレスセミナーの後半では、インテル 執行役員 インダストリー事業本部長の張磊氏が、同日発表された物流向けのIoTソリューション「インテル コネクテッド・ロジスティクス・プラットフォーム(以下、インテルCLP)」について説明した。

インテル 執行役員 インダストリー事業本部長 張磊氏

 インテルCLPは物流業界におけるサプライチェーンをエンドツーエンドで可視化するIoTソリューション。荷物に設置されたセンサータグで温度、湿度、衝撃、傾き、照度、位置などを計測し、ゲートウェイ経由でクラウドに送出。倉庫やトラック、列車、船、航空機などの輸送状態をリアルタイムに可視化できるというものだ。

インテルCLPのアーキテクチャ

 張氏は、インテルCLP登場の背景として、損傷、遅延、盗難されている輸送貨物が30%におよぶという国際的な輸送品質に関する課題があると指摘した。盗難は毎年6兆円規模におよび、16兆円の食物が消費されずに廃棄され、生鮮食品の3割は食卓に届くことなく廃棄されているという。「世界第二位の製薬会社は緊急時のために、つねに100億円規模の在庫を抱えている」(張氏)と語る。

 これに対してインテルCLPは、従来に比べてデバイス価格も安く、タグも使い捨てが可能になるという。データの送受信もリアルタイムで、アラート機能も持っているという。センサータグはユーザーごと必要な出荷単位で設置でき、バッテリ給電可能なゲートウェイは主要な輸送拠点に設置することで、輸送中の貨物の状態をリアルタイムに監視できるという。

物流のIoT化を推進する日本通運の取り組み

 このインテルCLPを採用したのが、2月に発表された日本通運の輸送状況可視化サービス「Global Cargo Watcher Advance(GCWA)」になる。日本通運の松本義之氏は、サービスの概要とインテルとの協業について説明した。

日本通運 取締役 執行役員 航空事業支店長 松本義之氏

 従来型のセンサーを用いた輸送状況可視化サービスは、衝撃発生まではわかるが、日時や場所がわからないため、責任の所在が不明瞭で、原因の究明に至らないことがあった。また、センサーが返送するために、コストや手間がかかり、商品出荷の判定に遅れを感じる可能性があったという。

 これに対してインテルCLPを用いたGlobal Cargo Watcher Advanceでは、輸送状況をリアルタイムに可視化でき、タグの返送も不要になる。センサーも多彩な情報が取得できるため、オフィス移転であれば衝撃や傾斜、美術品や生鮮貨物であればであれば温度と湿度、盗難防止であれば位置や照度など、貨物によってそれぞれを使い分けられる。

Global Cargo Watcher Advanceの画面イメージ

 Global Cargo Watcher Advanceは、厳密な温度管理が必要な輸送サービスや医療品の冷凍・冷蔵拠点、あるいは衝撃や傾きにナイーブな精密機器の輸送なども利用でき、国際輸送以外のサービスと組み合わせた多彩な運用も提案できるようになるとのこと。2年間のインテル、ハネウェルとの協業でサービスを構築してきた日本通運の松本氏は、「物流業界のIoT化を推進していきたい」と抱負を語る。

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