「豆板醤が効いた本格的なチリソース」と
自称するだけのことはある
これ、おいしいです。「ふざけてるのか?」と思われそうですね。この手の記事では何も言っていないにひとしい。赤ペンで大きくバツを付けられるレベル。何がどうおいしいかという話をしないといけません。
まず、チリソース。これまた原稿に書いたらデスクに張り倒されそうな説明ですが、ちゃんとチリソースの味がします。いや、しかし、よく考えるとすごいことです。松屋の定食、しかも650円なのに、きちんと豆板醤の味が活きたソースになっています。ニンニクとショウガの香りも効いていて、かつ、全体のバランスを壊していない。
広報画像には「豆板醤が効いた本格的なチリソース」との文言がありましたが、わりと、ウソ偽りのないレベルにあるといえます。辛さもなかなかのものですが、「激辛」というほどではないかな。「ピリ辛」の範囲に収まっています。
もう一つ辛さに深みがあれば……と思うところもありますが、さすがにそれはチェーン店に高望みしすぎというものでしょう。この書き方も相当にアレだということは承知していますが、もし鶏もも肉がエビだったら、間違いなく「ちゃんとしたエビチリ」になっているはず。それぐらい、きちんとしたチリソース。
ただ、主役はエビではなく、チキンです。これがポイント。やや辛味が強いシンプルな味のソースに、淡白な味の鶏ももがとてもよく合う。白身魚(を揚げたもの)にチリソースをかけた中華料理があるじゃないですか。雰囲気があれに似ているんです。濃いめ、辛めのソースには、脂肪分の多すぎない肉が好相性。その上で「ごろごろ」とうたうように、大きめに切ってある鶏もものボリューム感がまたうれしい。
だから、白米との相性も、悪かろうはずがない。しっかりとした味がついているし、肉自体の食べごたえもありますから。ソースの完成度に注目しがちですが、ネギとタマネギにもほどよく食感が残っていて、まあ、このあたりはもしかすると店員さんの手際によって微妙に変わる気もしなくはないのですが、よいアクセントになっています。
「チェーン店の定食メニュー」という基準からいえば、チリソースは本格的と評してもよいレベルですし、そのソースに組み合わせるのがチキンというチョイスも、マジでよくできている。ウマい。だから「松屋『ごろごろチキンのチリソース定食』本格的なウマさに度肝抜かれた」というタイトルになりました。シンプルなつくりの定食なので、肯定的に語るとしてもレトリックは必要ない……そんな「逸品」の佇まいがあります。
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