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「CEOが語る知財」:アクセルスペース代表取締役 CEO 中村友哉氏インタビュー

地球観測インフラ展開で変化したアクセルスペースの知財意識

2019年03月12日 07時00分更新

ブラックボックス戦略から、IPASで新たな知財戦略の策定へ

 AxelGlobeプロジェクトによって新たな衛星活用の可能性が生まれたことで、知財への意識も変わってきた。

 「人工衛星はコモディティではないので、以前はブラックボックス戦略のほうが合っていた。しかし、AxelGlobeプロジェクトの開始によって、いろいろな人が直接触れるサービスになったことで、権利を押さえる必要が出てきました」(中村氏)

 たとえば画像や情報を一般のユーザーに提供する場合、UIなどの仕組みが必要となる。さらに衛星画像から駐車場に駐車している車の台数を抽出するサービスを提供するとしたら、解析のアルゴリズム、機械学習の学習モデルなどの権利も守る必要があるかもしれない。知財について社内で検討を始めた頃、特許庁の知財アクセラレーションプログラム(IPAS)の募集があり、第1期に採択された。

 「宇宙ビジネスはまったく新しい分野。IPASのメンタリングでは十分に面談時間をとってもらい、まずは我々の事業を理解してもらうところから、お互いにクリアになるまでディスカッションを重ねました。何に新規性があり、権利として押さえる価値があるのかは、開発している側にとっては必ずしも明らかではありません。それらを知財の専門家の目を通して、的確なアドバイスがもらえたのはありがたかったです」

 アクセルスペースのメンターを担当した弁護士・弁理士の内田 誠氏(iCraft法律事務所)は、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」(経済産業省)などの策定にも関わっている専門家だ。最新のAI/機械学習に明るく、これからの新しいサービスを想定した事業戦略についてもアドバイスが得られたそうだ。

 「アドバイスを受けて、複数の特許を出願しました。また、知財だけでなく、さまざまな面でサポートをいただきました。例えば、従来使用していた衛星画像の使用許諾契約は、今の時代にそぐわない部分があるとの指摘を受け、最新のIT産業の知見をうまく取り込んだものに改訂しています」

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