キーワード1:MISSION「すべての人をクリエイターに」
平野氏(以下、敬称略):「みなさんこんばんは平野友康です。 僕はデジタルステージの創業者で、3年前まで経営に関わっていました。ただ、今は熊崎や社員のみんなが、デジタルステージをさらに成長させてより良い会社にしてくれていると感じています。僕は新しい会社を興しているんですが、失敗ばかりなので、デジタルステージがうまくいっているのが、僕の心の支えになっています。
デジタルステージでは『すべての人クリエイターに』と言う想いをミッションとしていろんなソフトを作ってきました。最初にソフトウェアを作ろうと思ったときに考えたのは、ソフトウェアを通じて、それまでできなかったことができるようになったり 、クリエイターじゃない人でもクリエイティブなことができるようになったりして、人生が変わるそんなことが起こったらいいなと思っていました。
その時に参考にしたのがドラえもんでした。 ひみつ道具のようなものが作れたらと思っていました。 さらにマニュアルなしで、直感的に作れたらいい。そうするためにはどうしたらいいのかを考えていました。我々が作ったツールでユーザーは簡単に、すごいクオリティーのものが作れるようになる。そうするために僕らは苦労するんです。 ユーザーのみなさんが何千時間も苦労するかわりに、僕らが何千時間かけて開発する。そして、ほんの数時間でできるようにするんだということを、デジタルステージではミッションとして掲げてやってきました」
熊崎氏(以下、敬称略):「平野さんが生み出したソフトウェアの世界で、僕も学んできました。そして今、デジタルステージは 、ホームページ制作ソフト『BiNDup』を中心にソフトウェアを開発をしています。さらにこの5年ぐらいは、エンタープライズ版やOEM版などいくつかのバージョンがある『BiND for Business』を進めています。 ユーザー層も、小さなお客様から、情報企業様にまでも広がっています。たとえば、内閣府様のウェブページなどに、クリエイティブが広がっています。
お客様のニーズやソフトウェアを使われる方も多様になってきています。マニュアルを見なくてもカンタンに使えて、直感的に自分たちが思い描くようなウェブサイトが作れるという根本の考えは変えず、それらを応用しながらユーザーの幅を広げているところだと考えています」
キーワード2:CREATE「開発合宿」
平野:「デジタルステージといえば開発合宿です。 今となってはメジャーな手法になりましたが、とにかくいろんな所に行って合宿しました。なかでもよかったのが箱根。温泉に入っている間に新しいアイデアが降りてきたりします。 普通に考えているだけじゃいいソフトなんて作れないんです。
合宿のいいところは朝から晩まで、みんなで考えて、 何日も一緒に過ごすことで、ディープに入っていけるところ。合宿のあとは、これまで考えたこともなかったようだ視点が得られたりするんです。 当時は、社員だけでなく外部の人も加えて、そういう合宿をよくやっていました。何百時間もユーザーさんのことを考えてソフトウェアを開発する。その集中力をどれぐらい持てるかが、あの頃のデジタルステージの戦いだったように思います」
熊崎:「2人で経営会議として箱根の温泉に2時間ぐらい入っていたこともありましたね。そこでだいたいその先1年ぐらいの経営方針を決めていました。
今でも開発部隊などは合宿を行なっています。最近取り組んでいる新しいカタチは、社員全員で考える、ALLデジタルステージでものづくりをしていこうというものです。今やユーザーはいろんな業態にまたがっており、一番接しているのが開発担当とは限りません。だから社員みんなで考える新しいデジタルステージのものづくりに挑戦しています。さらにユーザーや取引先の皆様とも一緒にものづくりをしていけたらいいなと思っています」
キーワード3:COMMUNICATION「共感と共有」
平野:「大切なのはソフトウェアというプロダクトを購入してもらって、お金を得るということではなくて、ファンになってもらうことなんです。たとえば、クリエイターでもない自分がPHOTO CiNEMA+を使って結婚式のムービーを作ってあげたら会場中が泣いていた。このように人生が変わってしまった人がたくさんいる。そういうのって飛躍だと思うんです。ソフトウェアを通じてどんな飛躍を作れるのか、ファンを作れるのかそんなことをずっと考えてきました。
『Life with photocinema』というデジカメで撮った写真を映像化するソフトを作ったときは半径200メートルだと言っていました。当時のソフトウェアのターゲットは、その機能を必要としている人だけだったんです。そうじゃなくて、身近にいる友達がほしいというものを作ればいい。マーケティングなんて一切いらないんだという話をしていたのを思い出します。
ソフトウェアで何ができるのか、ユーザーさんとどんな関係が作れるのか、どういう思い出が作れるのか、人生が変えられるのか。 そう言うことがデジタルステージのテーマのように思います」
熊崎:「平野さんの話から、方針はそれほど変わってないんですが、新たなカタチに挑戦しています。今、我々のソフトウェアは我々だけが売っているわけじゃなくて、さまざまなパートナーさんが自分の製品として、僕らの製品を売っていただいています。そのエコシステムみたいなモノが、新しいデジタルステージがやっていることだったりします。
さらに最近はAIの勉強などもしています。ユーザー様が作ったウェブサイトがあって、そこにアクセスしてきた人たちがどんな動きをしているのか。そんなところに次の成長があります。新しいモノづくりのあり方、新しいコミュニティー作りみたいなことも考えています」
20周年を経てデジタルステージはまた新たなカタチを模索していく
特別セッションのあとは、デジタルステージの社員によるクラブ活動の紹介だ。 ミニ四駆やゴルフ、サバイバルゲームなど、車内にはさまざまなクラブ活動があり、活動費を掛けたプレゼンテーションが行なわれた。来場者による投票により、クラブ活動費は新たに活動を開始するサバイバルゲームがゲットしていた。
その後、クイズ大会とデジタルステージ社員を含むバンドの生演奏が行なわれ、宴の盛り上がりもピークに達する。そして、終会の挨拶では再び平野・熊崎両名が登壇した。
平野:「3年前にデジタルステージから完全に離れて、外からデジタルステージを見るようになりました。そしていい会社になっているなと感じています。 というのもやっぱり僕は創業者なので極端なんです。しかし、熊崎は、ユーザーが何を必要としているのか、まじめに耳を傾けて、さらに一緒にやってくださるみなさんともいい関係を作っています。当たり前に必要なことを、きちんとやろうとしている。この2、3年でデジタルステージはすごく変わったようにと思っています。未来のデジタルステージは、関わるみなさんと一緒に良い関係を作っていくということをつきつめていってほしいと思っています」
熊崎:「平野さんから受け継いだものづくりのこころを、しっかり守り、それを若い人に伝えて行きたいと考えています。さらに『BiNDup』などを使っていただいている、ユーザー様の期待に応え、裏切らないように、これからもやっていきたいと思っています」
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