――よい知財専門家を見極める方法は?
有定:「知財担当者としては、まず弁理士さんとお話をさせていただいています。専門家としてのスキルの高さを確認するため、部分的に書類を作ってもらうこともありますが、専門性だけでなく、コミュニケーションスキルも重視しています。この界隈の話がどれだけ通じるか? 発明者と出願の相談をする際に、同じ絵が描けないと特許出願のニュアンスがおかしくなる。それを含めて、コミュニケーションできるかを判断しています」
林:「どんなに優れた弁理士さんでも得意不得意がある。特許をとることで抑止力になり、さらにはその商品が売れるのかどうか。マーケティング的な目線でアドバイスをしてくれる弁理士さんだとありがたい。同じ分野に精通している弁理士さんに出会うため、先願調査をして、過去の事例の明細書から弁理士さんに連絡をとることもあります」
林:「起業家は忙しいので、綿密に連絡を取ることができるかどうかも大切。どのくらいの頻度でミーティングができるのかどうかも先に確認しておくといい。私の場合は4~5時間拘束することもあります」
貝沼:「いい弁理士さんは、こちらから説明しなくても向こうから提案してくれます。波長も大事ですが、その分野の知識・技術にくわしい方はやはり強いですね」
――スタートアップは、知財専門家をどのように活用すべきか。
有定:「スタートアップは社内に知財担当がいないのが当たり前。明細の作成だけに留まらず、競合他社がどういう特許を持っているのか、過去の訴訟事例など、あらゆる提案をしてくれる弁理士さんだと、うまく活用できるのでは。また、比較的小さな事務所のほうが、何かあったときにすぐに来て処理してくれる傾向があります」
林:「弁理士さんは、マーケティングにも役立ちます。創業者は思いが強すぎて、マーケットに受け入れられるかどうかを考えずに突き進んで、技術を宝の持ち腐れにしがち。そのマーケットはすでに世の中にあるのか、第三者の目線でコンサルもしてもらえるような、ビジネスにも精通した知財の専門家がいればスタートアップにとって助かります」
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