ファーウェイにハッキリと牙を剝く米国の動きに対し、欧州の反応が混乱を見せている。
米国とは異なり、端末とネットワークインフラ機器の両方でファーウェイを受け入れてきた欧州だが、米国の強力な動きにより、主に政府関係者の間でファーウェイを禁止すべきではという意見が出ている一方で、実際の顧客である通信事業者はファーウェイという選択肢がなくなることに危惧している。
ファーウェイの扱いに違いが見られる欧州各国
米国ではすでに大手キャリアの通信インフラにおけるファーウェイ製機器の使用は実質禁止となっている(地域のキャリアではそれなりのシェアを占めているそうだが)。だが、欧州では事情は異なる。主要キャリアはほぼすべて、何らかの形でファーウェイの機器を使っているし、ファーウェイ製スマートフォンは人気だ。
”西側”である米国、それに追随したオーストラリア、ニュージーランドなどの動きを受け、欧州各国も何らかの反応を見せている。たとえば、オランダ、フランス、ドイツなどの国では5Gのインフラ機器でファーウェイ製機器の禁止を検討中と言われている。英国ではBTが自主的にファーウェイ製機器を使用しない方針を示したほか、Vodafoneも購入を一時的に見合わせる方針を出している。
このような中、欧州連合(EU)でも、域内でのファーウェイ製品のインフラでの利用をデファクトで禁止すべきか検討中という報道もある。
キャリアの本音は安価なファーウェイ製機器を使いたい?
一方で、ファーウェイ製のインフラ機器は技術と品質ともにトップクラスと賞賛するキャリアの声も報じられている。価格も高くないので、経営状態が芳しくない欧州のキャリアには、ファーウェイは人気だ。
前述の英国のBTの幹部も「現時点で5Gを供給できるのはファーウェイだけ」と語っている。Bloombergによると、ドイツ最大手の通信事業者Deutsche Telekom(DT)は、ファーウェイを禁止することは欧州の5Gが2年遅れになるという試算をしている(https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-01-28/deutsche-telekom-is-said-to-warn-huawei-ban-would-hurt-europe-5g)。
そのDTはパブリッククラウド、5Gの研究などでファーウェイと協業関係にある。5Gで再び機器のアップグレードが求められるキャリアにとって、ファーウェイという選択肢を排除されることは苦しいと言える。
ハッキリとファーウェイ支持を示しているキャリアもある。トルコの大手通信事業者であるTurkcellのCEOは、「実証されていない主張に我々が反応すると期待しないでほしい。Turkcellは継続してパートナーであるファーウェイと協業する」と述べたという。地元紙のDaily Sabahが報じている(https://www.dailysabah.com/technology/2019/02/06/turkcell-ceo-huawei-reliable-partner-despite-security-allegations)。
欧州ベースのキャリアの業界団体、GSM Association(MWCの主催でもある)は、2月14日に通信インフラの供給において「安全」「競合」「イノベーション」「コンシューマーへの影響」を守る必要があるとして、事実とリスクの2つの点からのアプローチを取るべきと呼びかけた。「ネットワークのさまざまな部分で機器の供給が途切れることは、欧州の通信事業者、企業、市民にとってコスト高になる」とし、欧州各国の政府に対し、上の4つの分野で具体的に検討すべきポイントを列記している。
なお、Reutersによると、MWCの会期中、GSMAはファーウェイの問題についての話し合う会合を計画しているという(https://www.reuters.com/article/us-usa-china-huawei-tech-europe-exclusiv/exclusive-mobile-network-operators-body-gsma-considers-crisis-meeting-over-huawei-idUSKCN1PR0DT)。
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