週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

さらに高速化した「Movidius Myriad X」を採用だ!!

エッジの"神デバイス"となるか - ディープラーニング"推論"で普及を狙う「AI CORE Xスターターキット」

2019年02月20日 11時00分更新

文● ハイサイ比嘉
提供: V-net AAEON

AAEON製小型コンピュータボード「UP2」(UP Squared)

 V-net AAEONのUP2(UP Squared)は、Intel製のプロセッサーを搭載した小型コンピュータボードで、サイズは85.6×90mm。Raspberry Piとの互換性を備える40ピンヘッダー、mini PCIeスロット(SATAスロットとしても使用可能)、E-Key用のM.2スロットを備えている。

V-net AAEON UP2(UP Squared)

 CPUはCeleron 3350N/Pentium N4200/Atom E3940の3種類から選択が可能で、ストレージとしてはボード上にeMMCを搭載する。メインメモリーは2GB/4GBで、ストレージ容量は32/64/128GBの3種類から選択が可能だ。

主なスペック(「AI CORE X」スターターキット同梱版)
製品名 V-net AAEON UP2(UP Squared)
CPU Intel Celeron N3350(1.1GHz-2.4GHz)/Intel Pentium N4200(1.6GHz-2.5GHz)
メインメモリー(最大) 4/8GB LPDDR4(デュアル、オンボード)
グラフィックス機能 Intel HD 500 Graphics(Celeron N3350)/Intel HD 505 Graphics(Pentium N4200)、HEVC/H.264/VP8対応
ストレージ 32/64GB eMMC(オンボード)
LAN機能 有線LAN(1000BASE-T、Realtek RTL8111G、RJ-45)×2
ビデオ&オーディオ HDMI 1.4b(3840×2160@30Hz対応)、DisplayPort 1.2(4096×2160@60Hz対応)、eDP、I2Sオーディオポート
USB USB 3.0(Type-A)×3、USB 3.0 OTG(Micro-B)、USB 2.0(+UART デバッグポート)×2
カメラ MIPI-CSI2 2-lane(2MP)、MIPI-CSI2 4-lane(8MP)
拡張機能 40ピンヘッダー+4チャンネル 12bit A/Dコンバーター(500ksps - 1Msps)、60ピンEXHAT、mini-PCIe(PCIe Gen.2、BIOSでmSATAモード対応)、M.2(2230、PCIe Gen.2)、SATA3(フルサイズ、SATA 6Gb/s)
RTC 搭載
本体サイズ 85.60×90mm
電源 5V DC-in(4A-6A) 5.5/2.1mm端子

ディープラーニング“推論”用アクセラレーター「AI CORE X」

 UP AI CORE Xは、現在はIntelが手がけているVPU、Intel Movidius Myriad Xを搭載する製品だ。

 Intel Movidius Myriad Xは、深層学習に最適化された16基のVLIW仕様「SHAVE Vector Processor」を採用しており、センサーやカメラから取り込んだ環境データから、深層学習を用いて推論を高速に実行できる。従来チップMyriad 2の約10倍の性能(1TOPS)を誇るというから驚きだ。UP AI CORE Xは4Gbit LPDDR4メモリー内蔵タイプのMyriad X 2485を利用しており、動作確認済み推奨ボードは、前述のUP2(UP Squared)となっている。

Intel Movidius Myriad X

 UP AI CORE Xは、後述のOpenVINOを利用可能なほか、コミュニティーサイトでさまざまな情報・技術サポートを得られるようになっている。

主なスペック
製品名 V-net AAEON AI CORE X
SoC Intel Movidius Myriad X 2485
チップ数 1
対応フレームワーク TensorFlow、Caffe
ヒートシンク 30mmヒートシンク付き
フォームファクター Mini PCI-Express
サイズ 51×30mm
対応OS Ubuntu 16.04TLS(x86_64)以降
対応ハードウェア環境 mPCI-Eスロット搭載、1GB以上のメモリー、空き容量4GB以上のストレージ
動作確認済み推奨ボード V-net AAEON UP2(UP Squared)

Intelの深度カメラ「Intel Real Sense Depth Camera D435」とは?

 AI CORE Xスターターキットにセットとして含まれるカメラは、一般的なWebカメラではなく、Intelの深度カメラ(デプスカメラ)「Intel Real Sense Depth Camera D435」となっている。映像の奥行きなどの距離を測定可能な上にリーズナブルな価格で人気の製品だ。

Intelの深度カメラ(デプスカメラ)、Intel Real Sense Depth Camera D435

 基本的なハードウェア仕様は、深度センサ視野角がHDの場合H86×V57×D94(+-3)度、VGAの場合H74×V62×D88(+-3)度。出力解像度(DepthStream)最大1280×720ドット、出力フレームレート(DepthStream)最大90fps、最小深度距離(Min-Z)約0.1m、最大レンジ 約10m(較正、背景、照度状況による)、解像度およびフレームレート(RGBセンサー)1920×1080ドット(30fps)、RGBセンサー視野角69.4×42.5×77となっている。

 インターフェースはUSB 3.0 Type-C。サイズは90×25×25mmだ。

主なスペック
製品名 Intel RealSense Depth Camera D435
深度技術 Active IR stereo(グローバルシャッター)
カメラモジュール Intel RealSense Module D430 +RGB Camera
VPUボード Intel RealSense Vision Processor D4
最小深度(Min-Z) 105mm(解像度424×240ドット時)
最大深度 10m
Depth 解像度(FPS) 1280×720(最大30fps)
Depth HD視野角(Depth FOV HD) HD:H86×V57×D94(+/- 3)
Depth VGA視野角(Depth FOV VGA) HD:H74×V62×D88(+/- 3)
RGB解像度 1920×1080(30fps)
RGB 視野(RGB FOV) H69.4×V42.5×D77(+/- 3)
インターフェース USB 3.0 Type-C端子
サイズ 90×25×25mm

Movidius Xの推論性能を引き出す「OpenVINO」

 OpenVINOは、TensorFlow、ONNX、MXNet、Caffeなど幅広い推論フレームワークに対応するほか、既存のコンピュータービジョン向けにはOpen CV、ダイレクトコーディングに向けてはOpen CLなどをサポートしている。

 OpenVINOを使うことで、CPUは既存の2倍の性能を引き出せる上、インテルFPGAでは既存のCPUの約1.4倍、Movidius VPUでは既存の組み込みチップの約5倍の推論性能を実現するという。

 OpenVINOはAgentVI、Dahua、Dell、GE Healthcare、Hikvision、Honeywellなどで導入されており、医療用画像診断の性能を向上させたり、サポートするカメラの台数自体を増やすことが可能になっている。

サポートOSは、すでにおなじみの「Ubuntu」

 RealSence Camera付きAI CORE Xスターターキットの開発環境としてプリインストールされているOSは「Ubuntu 16.04 LTS」(Xenial Xerus、64bit版)だ。

 Ubuntu 16.04 LTSは1世代前のLTS版ではあるものの、サポート終了日(End of Life)は2021年4月となっており、実用の環境とするには問題ない(Ubuntu Wikiの「Releases」参照)。OpenVINOのサンプルを利用するためのスクリプトなども合わせてインストール済みなので、開発環境の構築でまごつくことはないだろう。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう