週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

MQAやハイレゾCDにも対応、SP1000Mなど第4世代機

ここまで進化していたハイレゾ機、Astell&Kernの最新機能を探る

2019年01月13日 13時00分更新

実はSpotifyやAWAの再生もできる

 カジュアルに音楽を楽しみたいという人の間では、スマホを使ったストリーミング再生が人気だが、Astell&Kernはこのあたりもしっかりフォローしている。

 ややマニアックな使いこなしになるため、万人にはお勧めしにくいのだが、Astell&Kernのプレーヤーは、OpenApp Serviceによって、ストリーミング再生に対応したアプリを後から追加できる仕組みを持っている。詳しくはAstell&Kernのグローバルサイトを参照してほしいが、「Spotify」「Amazon Music」「AWA」などを含む21のサービスが利用でき、「Deezer」アプリにも対応した。ここは要チェックである。

インストールすれば、メニューのサービスから各種ストリーミングサービスの機能を呼び出せる。Androidのアプリに相当するものをインストールできる機能と考えればいい。

 最近では、Androidベースのハイレゾプレーヤーが増えており、スマホと同様にGoogle Playストアなどからアプリをダウンロードして追加できるものが多い。Astell&Kernのプレーヤーはストア機能を持たない。スマホに詳しい人ならAPKファイルを追加するようなものと書けば分かりやすいかもしれないが、こうした機能によって、最低限の機能追加ができる余地は残しているのは利点と言える。

 高級DAPは「ハイレゾ再生のためのもの」と思い込みがちだが、実は普段スマホでストリーミング再生しているような320kbpsのMP3でも、非可逆圧縮とはいえ、十分な情報が残っている。高音質なプレーヤーで聴けば、そこがしっかり再現されてきて、フォーマットによるデメリットを感じさせない。多くの人は、プレーヤーを変えるだけで「音の再現力がここまで違うのか」「実はこんなに高音質だったんだ」と驚くのではないだろうか。

単品コンポの置き換えもできると考えれば、むしろ割安感も

 少し話が逸れるが、筆者はカスタムメイドのケーブルを1本所有している。

 毎回ヘッドフォン祭で、ケーブル制作の実演をしているORBのマイスターに製作してもらったものだ。会場で、Astell&Kernのプレーヤーを据え置きのヘッドホンアンプにつなげるよう「2.5mm4極の出力」を「XLR 3ピン×2」に変換できるケーブルがあるなら欲しいと話したところ、「ケーブル2本分の料金がかかるので、ちょっと高くなるが作れる」と言われて依頼したものである。

純正品が過去に販売されたこともあった2.5mm4極→XLR 3ピン×2の変換ケーブルだが、カスタムで制作してもらった方がだいぶ安かった。

 簡単な図を描いて使用する部材を選んだうえで、後日、素晴らしい出来のケーブルが納品されてきた。奇しくもそのケーブルのシースはSP1000Mの筐体色と非常にマッチするブルー。組み合わせるととても素敵である。

 以前からこのケーブルを使い、歴代のAstell&KernプレーヤーとOPPOの「HA-1」など、アナログのバランス入力に対応したヘッドホンアンプを組み合わせて使ってきた。「HD 800 S」など、ハイインピーダンスで高出力なアンプが必要なヘッドホンをバランス駆動したい場合には、それに合ったヘッドホンアンプが必要だ。外に持ち出さない自宅でのリスニング時には、HA-1のような機種との組み合わせが有効に思える。

 また、スピーカー再生用のシステムにも加えられる。単品Hi-Fiシステムのソース機としてもAstell&Kernのプレーヤーは有効だと思っている。筆者は、旧機種ではあるものの、某国内ブランドのフラッグシップSACDプレーヤーも所有している。これと置き換えても気にならない音質だ。単体ではディスク再生ができないので、SACDやBlu-ray Audioなどは楽しめないが、CDであれば上述したAK CD-RIPPERで再生できる。

このサイズで単品システムに負けない音が出る。HA-1はプリアンプも内蔵しているので、パワーアンプを追加すればスピーカー再生も可能だ。

 バッテリー駆動で電源部もクリーンだし、メモリー再生のため読み取り精度なども気にする必要がない。選曲なども簡単だ。対応フォーマットはむしろ多いし、かつ場所も取らないので、重宝している。

 さらにWi-Fi経由で、NASに保存したハイレゾ音源を再生したり、スマホアプリを使ったリモート操作で選曲や再生、一時停止などができる点も非常に便利だ。単品のネットワークプレーヤーを購入しようと考えた場合、数十万円の出費は避けられない面もあるが、それとほぼ変わらない機能がこのサイズで利用できる。

 これ以外にもUSBデジタル出力などを使った連携もできる。他社の製品と比べた場合、連続再生時間がやや短めであるというデメリットもあるのだが、機能面の死角はほぼない。しかも音質ではなく機能やUIの面では、最も安価なSR15を含め、第4世代機共通の特徴になっている。この統一感は、Astell&Kern製プレーヤーのメリットの一つと言えるだろう。

後半に続く

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう